ガイの場合
はじめは、怨んでいたさ。
だけど帰ってきたあいつはあいつじゃなくて。
何も知らない、何も出来ない赤ん坊同然で。
一緒に旅をした。その中で成長していくあいつの姿が嬉しくて。
でも、馬鹿な決断をしたと思った。
忘れられるわけがない。
忘れたいなんて思うわけがない。
「ルーク……俺もやっとお前のところに行けるよ……」
なーんてさ……
「俺恥ずかしー!!!」
「がぃ?なにがはじゅかちー?」
「うわっルークいたのか!…なんでもないさ。それよりどうした、今は書き取りの時間のはずだぞ?」
何故か俺は還って来た。
おぼろげに、そう思う。
薄っすらとこれから何が起こるかわかっているんだ。
予知能力っていうのとは違うんだと思う。
なんとなくだが、そうだな、過去の世界にきちまったような、違うか。
ふっとした時に記憶が舞い降りてくるような。
ぶつくさと、あの先生怖いから嫌いなんて言っているルークを宥めすかして。
「終わったらデザート持っててやるから。」
「ほんと?やくそくだよ!」
走り去っていくルークの小さな背中を見送る。
「今度こそ、守ってやるから……。」
アニスの場合
「イオンの動向を私に報告すること、それがお前の仕事だ。」
「はい…わかりま
なんでモースが生きてんの!?」
「アニス?」
え?え?どういうこと!?
あれ?あれ?なんで私ちっちゃくなってんの!?
なにこれ!?
引き締まったスレンダーなボディは!?腰まで伸ばした綺麗な黒髪は!?
「どういうことだアニス?」
「ハッ!な、なんでもないで~す!」
「……とにかく、今から導師のところへ案内する。よいか、くれぐれも報告を怠るではないぞ。」
これってどういうこと……?
過去?夢?あれ……?
あ、違う。これが今だ。なんかよくわかんないけど、夢…だったのかな……大人になった夢……。
でも……
「アニス、入りなさい。」
「あ、はーい!」
優しい顔をしたイオン様。
「はじめまして、アニス?僕が導師イオンです。」
「はじめ…まし、て……。」
「どうかしましたか?」
イオン様だ、イオン様だ、イオン様だ。
「なんでもないです。あ、わたくし、新ダアト教だ…」
あ、違う!
「…………。」
やっば…すっごい怪訝な目で見られてる……
「神託の騎士団導師守護役に配属になりました、アニス・タトリン奏長です、イオン様。」
「す、すいませ~ん。急な配属でちょっと頭が混乱しててぇ~。」
適当にごまかしたけど、後から何言われるか……怖いよぉ。
「そうですか、それは申し訳ありません。」
「いえいえ~、イオン様が謝ることじゃないですよぉ~。」
「これから、よろしくおねがいしますね。アニス。」
「……はい!」
何でかはわからないけど、イオン様の笑顔を見てすっごく思ったの!
絶対、ぜぇったい、イオン様を守ろうって!
ガイとアニス編。
ここで解説。魂はプラネットストームを漂ってその後、セフィロトへ還る。
その過程で過去の記憶を失って、セルパーティクルから新たな命として宿る為に出て行く。
だけど、逆行していく人達は魂の状態になって直ぐ、
過去の自分の転機の時「など」に戻ってしまうので、記憶が完全に消え去らない。
そんな設定。過去このお話の中で語った、記憶は元素説を既に否定_| ̄|○
ちなみにアニスはきっと未来で「新ダアト教団大詠師アニス・タトリン元帥」
だったんじゃないかなぁなどと思っただけ。思っただけ。

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