全ての音素を吸収しても、得るものが一つとして無ければ
この世界は終わりを告げる。
私という世界を私が壊す。
ただ真っ白に広がる空間。地核と呼ばれ、そうではない場所なのかもしれない。
「しっ!死ぬかと思ったじゃないですか!!貴方、わざと魂から体をずらして再構築しましたね!?」
「おや、ばれましたか。」
何を、しれっと!ただでさえ意識を保つのに精一杯だったというのに、音素の集結位置がずれているのに気付くのがあと少し遅れたら完璧に死んでいましたよ!
「いやぁ、新たな音素が既に集合体だったものですから。それに貴方は殺そうとして死ぬようなたちではないですからねぇ。」
悪びれる様子もなく、嘘をつく。今の貴方にかかれば私なんて造作もなく殺せるでしょう。
それはつまり、容赦なく切り捨てる言葉。
「ローレライの集合体をつくりだすのに私がまだ必要でしょうが!!」
死を理解しないのは相変わらずなのでしょうか。だからこそ、人とは呼べないのですよ。
そして、本当は死を恐怖していない私もまた。
「まぁ、そんなことより。初めまして、私はジェイド・バルフォアと申します。」
彼が見つめる先には、ご老人が一人。
「ワシを取り込みに来たか、王と生ろうとする者よ。」
「王?私が求めているのは、そんな意味の無い肩書きではありません。」
肩を竦めて、軽い口調で返す。そんな彼に老人は何かを悟ったように首を横に振った。
「主らが音素と呼ぶモノ、そしてこのワシ。ローレライ以外のその全てを司る者。」
老人は何かを懐かしむように、上を仰ぎ見る。
「それが王、王オリジン。ワシはその第一配下、音素と呼ばれるモノを統べるモノ。元素を司るマクスウェル。」
「元素……。」
呟く彼から、また狂気を感じる。ふとその気配が途切れる。
「質問があります。元素が、音素を統べる、と?」
そうなれば、記憶の継承についての不可解な点が解明出来るかもしれない。
「彼らと、ワシは同じモノじゃよ。」
「それはつまり……。」
「遥か以前、ワシらはこう呼ばれておった。精霊、と。」
老人はそれもまたワシらを表現するにはおかしいのだがのぉ、と言いつつフォフォフォと笑っている。
「科学の発展に伴って、摩訶不思議なモノを認めるのがいやになったのじゃろう。科学的に名称することによって、不思議は普通になる。」
考え込んでいる彼がゆっくりと顔を上げた。
「確かに、精霊という呼び方の方がしっくりくるかも知れませんね。風や光、闇……本来は形なく、しかし確かに存在するモノ。」
老人がうなずく。
「そしてそれを成す貴方が、統べるモノ。」
「そしてその全てを抱擁するのが精霊王オリジンじゃ。」
「何故、ローレライはその配下にないのですか?」
老人はまるで謎かけをしてくる時のように楽しそうに笑う。
「元々、彼のモノは多く意思の源。故に散らばり、広がった。」
「多くの意思の源……命…いや……魂…っ!?」
「うむ。……そして意思はセフィロトへ還る。星の隅々へと行き渡った意思が還り、たま旅立ってゆく。」
「ですが、ローレライは記憶粒子と音素が合わさったことで出来た新しい音素、記憶集合体のはず。」
「記憶粒子、という言い方がおかしいかもしれんのぉ。思い出してみなされ。おぬしがしてきたことを。」
私がしてきたこと、音素を吸収し、知識を……
「そうか、魂と……精霊達の記憶の融合。」
「精霊の記憶は星の記憶じゃ。そしてセルパーティクルと呼ばれるモノは星そのもの。その融合体それがローレライじゃ。」
考え込む彼を尻目に、老人は楽しそうに話を進める。
「ローレライは精霊自体と融合したわけではない。」
「オリジンを含めワシ達には魂という概念はない。」
そう…か…………。
「魂でもあるローレライと記憶でもあるオリジンの力も持ってすれば……。」
老人はコクリと頷く。
「さぁ、王と生ろうとするものよ。ワシを取り込みに来たのじゃろう?」
さも嬉しそうに両手を広げるマクスウェル。
何故、この老人は私に取り込まれることに抵抗をしないのか。
「おぬしは賢い。そして命は儚い。」
それが、答えか。
「何よりワシは一つではないからのぉ。」
精霊、と呼ばれる物質の集合体。
一人が、いや一つが吸収されようと、集えばまた現れる……。
「ワシらが四散し、奔流するようになり、オリジンもまた思考を無くした。また会えるのならばそれも喜ばしいじゃろう。」
そしてわたしは生った。
ローレライを捏造しまくり(爆
そしてファンタジアとFF7ネタ使いすぎ。
我がサイトのジェイド大佐はついに完璧に人間から脱したようです。
あれー?こうなる予定じゃなかったんだけどなぁ……?
ちなみに「生った(なった)」って書くと「生えた」と読みそうになるのは私だけだろうか。でも「成った、為った」じゃ違うしなぁ
あぁ、そろそろギャグが書きたい……_| ̄|○

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