忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

そしてわたしは

私を保ったまま、生った。


「これからどうするのです?」
「少し黙っていて貰えますか。」
この仮説が正しいとすれば、マクスウェルのような音素達は記憶を下に人格を演じていたと言える。
まるで譜業人形が流暢にしゃべるように。そこに自らの思考は存在していない。
だからこそ、私は私のまま。
「バチカルに向かいます。」
「はぁ!?どういう風の吹き回しです?あれほどバチカルは避けていたっていうのに。」
避けていたのではない。行く必要がなかったまで。
「貴方は着いて来ないでください。」

「久しぶりだな、ジェイド……。」
「えぇ、タタル渓谷以来ですね。あぁ、忘れていました、お誕生日おめでとうございます。」
あれから、あの希望を砕かれた日から既に二年が経っていた。
狂気に落ちていく過程を、私は音素として視た。
「ありがとう……それで、俺はどうするべきだ?お前を捕まえるべきか?逃がすべきか?」
帰ってきた『ルーク』は、インゴベルト六世陛下の家臣として勤め、この度正式にナタリア王女との婚約が決まった。
「捕まえていただいても結構ですが、その前に質問したいことと、お願いしたいことがあります。」
「質問?答えは全部あんたの中にあるんじゃないか?」
眉を顰める『ルーク』
「確かに、そうですね。まぁ、確信を得たいだけですから。」
困ったように頷く。ルークを彷彿とさせるその顔。小さく、溜息が漏れる。
「過去の貴方の記憶、ルークとアッシュで在った頃の記憶は混濁してはいませんか?」
「混濁……そう言われると、そうかもしれない。」
「それでは、今の貴方は?」
質問の意図が汲み取れるだろうか。
「……。そうだな、オリジナルでもレプリカでも無く、俺はルークだ。」
大変結構。
「ありがとうございます、『ルーク』。それではお願いなのですが、貴方の過去の記憶を私に下さい。」
きょとんとした『ルーク』に構うことなく、私は元素を読み取っていく。
『ルーク』にルークの記憶は残さない。その記憶はルークだけのもの。
混濁した記憶の整理は後でゆっくり行えばいい。
「……これで用事は済みました。あぁ、最後に質問を。貴方と私がはじめて会ったのはどこでしたか?」
ぼんやりとした顔の『ルークが』答える。
「……タタル渓谷…。」
結果は上々。


「さて、後はローレライに会うだけですねぇ。」
「ローレライに会って、何か変わるんですか?」
「えぇ、まだ憶測の段階ですが、楽しいことになると思います。」


音素の集束、集結。
構成されてゆく第七音素、ローレライ。
それは固有の形を持たず、虚ろに、体の形を取る光のようにも見える。







―私を呼んだか、統べる者よ―

「えぇ、貴方に質問とお願いがありまして。」

―答えよう、そして叶えよう―

「おや、すんなり協力していただけるとは思っていなかったのですが。」

―お前の望みは、すなわち私の望みでもある―

「貴方もずいぶん自分勝手な方ということですか。まぁいいでしょう。
質問は一つ。貴方は時間を操ることが出来るか。」

―答えは、否。だがしかし、過去へと魂を辿ることは出来る―

「それはすなわち、辿るべき魂がある場合に限り、移動が可能である。ということでしょうか?」

―その通り―

「私が過去へと遡ったとしても、この力は消失するということですか。
それでは意味が無い。それではルークを救えない。」

―私との融合を果せば、それ以上のことも出来よう―

「おや、融合は遠慮したいですねぇ。貴方の場合は魂があるようですので、私が私でなくなるのは困ります。」

―回帰した後に、私を還せばよい。放たれた私の魂は、私へと還るのだから―

「ふむ……いいでしょう。」

―だが、一つ問題がある。

お前と魂が触れ合った者が 今を生きるその者が死した後

過去へと遡ったお前の魂に引き釣られ回帰する可能性がある

記憶は魂に影響を及ぼす 魂は記憶する―

「さしたる問題はありません。」

―ならば融合を、そして回帰を―
 








ジェイドが光に包まれてゆく様を見ていた。
そのまま、光が集束してゆく。
「あ、ちょっと待ちなさい!私も連れて行きなさぃ!!」
  ―おや、気付きましたか。しかたありませんねぇ―
そうして、私と、この男は過去へと向かうのであった。


そしてわたしは貴方に逢いに行く


今度こそ、貴方と歩もう。愛しき子供よ


ローレライを捏造しまくり(爆
そしてファンタジアとFF7ネタ使いすぎ。
我がサイトのジェイド大佐はついに完璧に人間から脱したようです。
あれー?こうなる予定じゃなかったんだけどなぁ……?
ちなみに「生った(なった)」って書くと「生えた」と読みそうになるのは私だけだろうか。
でも「成った、為った」じゃ違うしなぁ
あぁ、そろそろギャグが書きたい……_| ̄|○

そういえば、『ルーク』はルークでもアッシュでもない。
と言っていますが、ルークの記憶を保持したアッシュです。
でも記憶を保持しているが故に、性格の変移が起こり、その説明が己でつかず、どちらでもないと言った。
ジェイドはそのことを見透かしているのは当たり前です。
なんて記載を、作中でしやがれ私、ですね。

拍手

PR

得るものが一つとして

全ての音素を吸収しても、得るものが一つとして無ければ
この世界は終わりを告げる。
私という世界を私が壊す。


ただ真っ白に広がる空間。地核と呼ばれ、そうではない場所なのかもしれない。
「しっ!死ぬかと思ったじゃないですか!!貴方、わざと魂から体をずらして再構築しましたね!?」
「おや、ばれましたか。」
何を、しれっと!ただでさえ意識を保つのに精一杯だったというのに、音素の集結位置がずれているのに気付くのがあと少し遅れたら完璧に死んでいましたよ!
「いやぁ、新たな音素が既に集合体だったものですから。それに貴方は殺そうとして死ぬようなたちではないですからねぇ。」
悪びれる様子もなく、嘘をつく。今の貴方にかかれば私なんて造作もなく殺せるでしょう。
それはつまり、容赦なく切り捨てる言葉。
「ローレライの集合体をつくりだすのに私がまだ必要でしょうが!!」
死を理解しないのは相変わらずなのでしょうか。だからこそ、人とは呼べないのですよ。
そして、本当は死を恐怖していない私もまた。
「まぁ、そんなことより。初めまして、私はジェイド・バルフォアと申します。」
彼が見つめる先には、ご老人が一人。
「ワシを取り込みに来たか、王と生ろうとする者よ。」
「王?私が求めているのは、そんな意味の無い肩書きではありません。」
肩を竦めて、軽い口調で返す。そんな彼に老人は何かを悟ったように首を横に振った。
「主らが音素と呼ぶモノ、そしてこのワシ。ローレライ以外のその全てを司る者。」
老人は何かを懐かしむように、上を仰ぎ見る。
「それが王、王オリジン。ワシはその第一配下、音素と呼ばれるモノを統べるモノ。元素を司るマクスウェル。」
「元素……。」
呟く彼から、また狂気を感じる。ふとその気配が途切れる。
「質問があります。元素が、音素を統べる、と?」
そうなれば、記憶の継承についての不可解な点が解明出来るかもしれない。
「彼らと、ワシは同じモノじゃよ。」
「それはつまり……。」
「遥か以前、ワシらはこう呼ばれておった。精霊、と。」
老人はそれもまたワシらを表現するにはおかしいのだがのぉ、と言いつつフォフォフォと笑っている。
「科学の発展に伴って、摩訶不思議なモノを認めるのがいやになったのじゃろう。科学的に名称することによって、不思議は普通になる。」
考え込んでいる彼がゆっくりと顔を上げた。
「確かに、精霊という呼び方の方がしっくりくるかも知れませんね。風や光、闇……本来は形なく、しかし確かに存在するモノ。」
老人がうなずく。
「そしてそれを成す貴方が、統べるモノ。」
「そしてその全てを抱擁するのが精霊王オリジンじゃ。」
「何故、ローレライはその配下にないのですか?」
老人はまるで謎かけをしてくる時のように楽しそうに笑う。
「元々、彼のモノは多く意思の源。故に散らばり、広がった。」
「多くの意思の源……命…いや……魂…っ!?」
「うむ。……そして意思はセフィロトへ還る。星の隅々へと行き渡った意思が還り、たま旅立ってゆく。」
「ですが、ローレライは記憶粒子と音素が合わさったことで出来た新しい音素、記憶集合体のはず。」
「記憶粒子、という言い方がおかしいかもしれんのぉ。思い出してみなされ。おぬしがしてきたことを。」
私がしてきたこと、音素を吸収し、知識を……
「そうか、魂と……精霊達の記憶の融合。」
「精霊の記憶は星の記憶じゃ。そしてセルパーティクルと呼ばれるモノは星そのもの。その融合体それがローレライじゃ。」
考え込む彼を尻目に、老人は楽しそうに話を進める。
「ローレライは精霊自体と融合したわけではない。」
「オリジンを含めワシ達には魂という概念はない。」
そう…か…………。
「魂でもあるローレライと記憶でもあるオリジンの力も持ってすれば……。」
老人はコクリと頷く。
「さぁ、王と生ろうとするものよ。ワシを取り込みに来たのじゃろう?」
さも嬉しそうに両手を広げるマクスウェル。
何故、この老人は私に取り込まれることに抵抗をしないのか。
「おぬしは賢い。そして命は儚い。」
それが、答えか。
「何よりワシは一つではないからのぉ。」
精霊、と呼ばれる物質の集合体。
一人が、いや一つが吸収されようと、集えばまた現れる……。
「ワシらが四散し、奔流するようになり、オリジンもまた思考を無くした。また会えるのならばそれも喜ばしいじゃろう。」


そしてわたしは生った。


ローレライを捏造しまくり(爆
そしてファンタジアとFF7ネタ使いすぎ。
我がサイトのジェイド大佐はついに完璧に人間から脱したようです。
あれー?こうなる予定じゃなかったんだけどなぁ……?
ちなみに「生った(なった)」って書くと「生えた」と読みそうになるのは私だけだろうか。でも「成った、為った」じゃ違うしなぁ
あぁ、そろそろギャグが書きたい……_| ̄|○

拍手


それでも望みを捨てることが出来ない。
私の世界は彼によって成り立っていたというのに。
ならば彼の居ないこの世界に何の意味があるというのだろう。


「何故……」
「知識を得る為。そして得た知識に見合う力を手に入れる為。」
膝を付く第四音素。
「何故我等を……」
「幾千年の時を大気として流れ、オールドラント隅々まで行き渡った音素。」
既に体を貫いている槍を、より強く、第四音素に突き刺す。
「その音素を集結させ、意識体にすることにより、情報を統合させる。」
第四音素が低い悲鳴を上げる。
「そしてその集合体を吸収することにより、情報と、その力が私のものになる。」
「何がお前を…そこまで……。」
「抗えなかった運命が、でしょうか?」

莫大な量の音素を集結させる。
あの男がその理論を考え着いた時には、ゾクリとしたものです。
あまりにも高等な理論なので、それを実行に移す為の実験が、どれほど大変であったでしょう。
まぁ、それもこの天才ディスト様にかかればお手の物でしたが。

「行きましょう。」
これで、第六音素までの音素集合体を吸収してしまったわけですか。
既に人ではなく、記憶の中の友でもなくなったこの男に、なぜ私は着いて行くのか。
知的興味、いいえ。
狂気へと落ちていくかつての友を、止めることが出来なかったから。
だったら、いっそのこと早く終わらせたい。
私の力が、まだ役に立つと言うのなら、ついて行き、終焉まで見届けたい。
「どうかしましたか?」
鮮血のように赤々とした眼はそこにはない。
赤黒く、より闇色へと変色した眼。
「何でもありませんよ。後はローレライだけですか?」
全ての音素集合体を吸収し切って、何が、何か変わるのでしょうか。
何も変わらなかった時、貴方は何をするのですか?
集合体を吸収するということは、オールドラントの音素が激減すること。
この作業が終わった時、本当に世界が終焉を迎えてしまうかもしれませんね。
「第七音素は後回しです。」
「何故です?」
「何か、今までに感じたことの無い音素の気配を感じます。」
新たな音素が在るということ?
「それの正体を突き止めてあわよくば吸収、ということですか。」
「えぇ、役に立つ音素ならいいのですが。」
「場所は?感じるのでしょう?」
はじめは色々な場所に赴き、少しずつ音素を集め、結晶化させていた作業も、集合体を吸収すればするほど、音素に敏感になったこの男の導きでペースは上がるばかり。
まぁ、私も既に人とは呼べない体になっているので疲れることはありませんが。
「貴方は、着いて来れないと思います。」
「何故!?」
男が地面を指差す。
「地核です。まぁ、どうしても着いてきたいのでしたら、一度音素乖離させた後に再構築してあげてもかまいませんが。」
怖いことをさらりと言う。
「きちんと魂がついてきてくれないと、再構築した時に死体が転がることになりますがね。どうします?」
「つつつ…ついていきますよ!」
「おや、面倒な作業が増えてしまいました。」
面倒で悪かったですね!面倒で!
「どのみち私がいないと、その新しい音素の結晶化できないじゃありませんか!」
今の私は例えるならローレライの剣。
私自体が、音素集結装置。
それをなす為に、私は私を構築する元素を捨てざるを得ませんでした。
レプリカとも呼べはしないんですけどね。
「それもそうです。ふむ、まぁ行きましょうか。」


全ての音素を取り込んで

それでも彼を取り戻す手段がないとすれば

本当にこの世界を壊してしまおうか



得るものが一つとしてなければ


ディストの口調って特徴的だと思ってたけど、案外ジェイドと被っててやり辛い。
つうか、音素吸収って、何者ですかここのジェイドは。
あんたもう眼鏡必要ないだろ。

拍手

その瞬間私は確かに

死の定義。
心肺機能の停止。
魂の帰化。
だがしかし、そのどれにも当てはまることはなく。
その瞬間私は確かに心が死んでいくのを感じた。


覚えていることは、適当に挨拶を交わし、早々にタタル渓谷を去ったこと。
共に付いてきた、素直に喜べない表情の聖獣をチーグルの森へ帰したこと。
陛下にしばらくの休暇を申請し、その了承を得たこと。
休暇終了と共に、退役を願い出、受理を待たずにグランコクマを去ったこと。

あらゆる可能性を検討し、検証し、いずれもことごとく失敗した。
魂の分離は、人智が成し得ることが出来ないのは重々承知している。
だが、私は打ち込み、没頭し、足掻いている。

「……ジェイド。いい加減やすんだらどうです?この実験の検証は私だけで十分ですよ。」
「…………。」
グランコクマを去る前、私は獄中のディストを連れ出した。

肉体を構成する音素の解析はいとも容易かったと言うのに。
魂とは、それを構成するものとは?


ルーク  ルーク ルーク   ルーク  ル  ーク ルー ク   ル ーク   ルーク  ルーク ル  ーク ル ーク  ルーク ルーク ル ー   ク ルーク ルーク  ル ー ク   ル ーク ル ー ク ルーク  ルーク ルーク    ルーク ル ー ク ルーク ルーク ルー ク ルーク ル ーク  ルー ク  ル ーク ルー ク   ルー ク ルー  ク  ル ーク  ルーク ル ー ク ルー ク ルーク ル ーク ルーク ルー ク ルー ク ル ーク ルーク ルー ク ルーク ル ーク

専攻分野の違いから、貴重な意見が聞けることもある。利用価値がある。

音素が集結することにより、集合体は意思を持つ。
それは魂との定義付けが出来るのだろうか。


「クックックックック……」
「貴方は完全に狂っている……ジェイド…………。」

ビックバン、大爆発。
同存在であるレプリカ情報回収の為、音素乖離しレプリカを吸収。
オリジナルと再構成される現象。
レプリカの記憶はオリジナルに継承され存在が消滅する。



憎い

記憶は魂か。
記憶と魂の違いは。
記憶、それは元素の結合により構成された記憶媒体。
五感で感じ取った感覚は記憶媒体によって管理される。
ビックバンによって記憶が継承されるのはレプリカが元素を用いず、第七音素のみで構成されるから。
だが、ここで疑問が生じる。
元素と音素は似て非なるもの。
音素で構成されるものが、元素に変更される。
それは可能なのだろうか……
そもそも、レプリカは元素を用いずに作られる為、欠陥が多い。
音素の種類に対し元素の種類のほうが圧倒的に多いからだ。
いや、音素自体が元素の一端とするならば……


「そこの洟垂れディスト。」
「は、洟垂れとはなんですか!洟垂れとは!薔薇!薔薇のディスト!」
「そろそろ食料が尽きるはずです。それと、フォミニン、フォロシウム、セルフォーマ、パーロニウムの在庫が少なくなっています。」
「はいはい、わかりました。行ってきますよ!」
「文句を言っている割には嬉しそうですが。あぁあなたは昔から虐められるのが大好きな変態でしたね。」
「だぁれが!私は貴方がしょうっ……。戻るのに2日はかかると思いますから。」
「えぇ、よろしくお願いします。」
ケテルブルクのディストの研究所が、巧妙に隠された場所にあることが幸運だった。
ディストの脱獄を手引きした罪で、もちろん軍位は剥奪され、私も今では追われる身。
あくまで剥奪、ということは、陛下は退役を却下したということだろう。
わざわざ、国が汚名を被る必要性は無いというのに。それがあの方なりの友情の示し方なのだろうか。

カレンダーの無い研究所。
今は一体何日だろうか。
ともかく、今は魂の構成を……


夕日 怯 紅 光 白 純 緑 闇 焔 ルーク ルーク ルーク

記憶と魂が別のものであるならば、ビックバン現象により引き継がれるのは記憶のみ。
それは魂の消滅を意味するのか。


ふざけるな、認めない。

「ハハハハハハ……ハハ…」
ガツッガツッガツッガツッガツッガツッ
「今、戻りまし……ジェイド!やめなさい!手が血だらけじゃないですか!」
「クックックックック……ハッハッハ…ハハハ…………。」

完全同位は身体のみに現れる現象。
そこに魂の同位は見られない。
つまり、魂は元素によって構成されるものではない。
ならば何によって?
音素集合体が持つ意思は魂として……いや、これについての考察は終わっているはずだ。

魂と記憶の相違……
違う、それは他の検証が済んでからのはずだ。
何を、何を考えていた、何を研究していた、思い出せ、思い出せ、思い出せ。
ん?右手に包帯が巻かれている。
解いてみれば瘡蓋に覆わた拳。
どこかに打ち付けたのだろうか?
ふと視線を上げると壁に血痕を拭った後。
まさか……この私が記憶の欠如?
ありえない。
机に散らばった研究資料をかき集める。

ディストが買い出しに出てから何時間経ったのだろうか。


「そう……か…………。」
「どうかしたんですか?」
「魂の構成なんて、最初から解析出来るわけがない。」
完全同位体の性格、性質の完全同位は立証されない。
つまり、それは同位されるものではない。
完全同位体は振動数の違いも見られない。
記憶は音素により構成されるものではない。元素によって構成される。
しかしレプリカは音素のみで構築されている以上、記憶と呼べるものが存在しない。
「人智を超えている……今の知識だけではどうあがこうと結果はでない……。」
何も出来ない。何も。
研究所に転がる、数多の被験者とレプリカ。
全てが無駄だった。
「研究は終わりです。私は出て行きます。」
「ちょっとジェイド!?どういうことです!?」
「私には他に為すべきことが出来ました。付いてくるなら、勝手にどうぞ。」


魂の分離さえ出来れば、どうにか出来ると思っていた

私の望むルークは決して戻ってくることはない

ルークは、もうこの世界にはいない

その瞬間私は確かに死んだ

二度とルークに会えぬのならば


ならばこの世界に何の意味があるというのか。


これは酷い。ごめんなさい。
今回無駄にカラフル(?)になっていますが、ジェイドの狂い度だと思ってください。
台詞以外でしっかりと黒いのは本来(?)のジェイドです。
こんな説明入れなくていいくらい文章力があればいいのですが。
なんか、元素、音素、構築、定義を考えてたら私のほうが気が狂いそうでした。
ゲームの矛盾点に突っ込み入れて書こうとしちゃいけないというのがよくわかりました。

拍手

希望を抱いて待つことすら

許されないのか
希望を抱いて待ち続けることすら
許してはもらえないのか


「お?なんだ、行くのか?」
出るのは溜息。幾度この馬鹿な親友のせいで溜息をつかされたことか。
「俺はてっきり行きませんよ、とか言い張ると思ってたんだがなぁ」
「流石にプライベートは尊重して頂けると思っていたのですが、私の思い違いでしたか?」
質問に答えたわけではなく、それでも私の言葉の意味を汲み取ったのか、あぁ、と洩らした後。
「お前の屋敷の中じゃないぞー?敷地の外だ」
えっへん、とでも言い出しそうに胸を張られても、それを埋める立場からすれば迷惑極まりないだけだ。
「外でもなんでも、宮殿外に、いや宮殿内であっても脱出路を作らないでください。どれだけ長いんですか」
「あぁ、俺がんばったもんなぁ、今回は」
「そんな無駄なことに努力するくらいなら、さっさと公務を片付けてください。そうしていただければ堂々と休みは取れるはずです」
「こういうのは、『脱出』するからこそ楽しいんじゃないか」
「不法侵入罪で今すぐ捕らえて差し上げましょうか?」
「おやおや、手厳しい」
馬鹿の相手は大臣たちに任せて、さっさと着替え、家を出るに限る。
「しかし、出発するにしては遅すぎやしないか?ガイなんか2日前に出てるぞ?」
「…………」
「アルビオールの貸し出し申請もしてないだろ?」
「…………」
「おーい、聞いてんのかー?」
「……行きませんよ」
はぁ?と間抜けな声が聞こえた。
「バチカルには、行きません」
「なんだ。やっぱり行かないのか。じゃあ何処に行くんだよ」
「さぁ?どこでしょう」
答える気は毛頭ない。
「ほら、さっさと宮殿に戻ってください。宮殿外に脱出路を作ったとなると、大臣たちがいつも以上にたぁいへんお冠でしょうし、機嫌取り頑張ってください」
口だけで笑みを作り、あえて自分が先に屋敷を出る。
「おいおい、黙っててくれるんじゃないのか?」
「誰がそんなつまらないことを」
後から付いてきた皇帝が玄関を出ると私は施錠をした。
辺りを見渡す。大方宮殿から屋敷裏の林道あたりまで地下通路を繋げたのだろう。
相当な長さであろう、地下通路を埋めるのは帰ってきたらガイに任せよう。
「ジェイド~、俺たち親友だろ?」
予想してなかったわけでもあるまい。
「その馬鹿な親友の馬鹿な行動の後始末には少々疲れ果てましたので」
今日のジェイドはいつも以上に手厳しいなぁ~と聞こえた声に無視を決め込んで、私は港へと足を進める。
背中越しに伝わる、眼差しにも気付かない振りをして。

カーティス家所有の船に揺られながら、いっそ誰もこなければいい。などと思った。
ガイが早くに出た理由は、多分バチカルで皆と合流する為。
ナタリア王女は成人の儀に参加せざるを得ない。
儀式の終了を待って夜のうちにアルビオールで目的地に着くだろう。
夕日がいやに眩しい。
色などに、特別な感動を覚えたことなんてなかったはずなのに。
この色だけは、この色だけは、私を動揺させる。
「……ー……ク……」
意図せず、意識せず、その名を呼べば。
蘇るのはあの泣きそうな笑顔。
満面の笑みなんて、見たことがあっただろうか。
アクゼリュスの崩落以降、行動を共にした彼が、心底、心から、笑っている姿を見たことがあっただろうか。
夕焼けは目に痛い。
目頭を押さえながら、漏れるのはやはり溜息一つ。
見てなんていられない。
目に 心に
痛すぎる。

カイツール軍港からは歩きで目的地に向かう。
私の強さを察知してか、襲い掛かってる魔物はいない。そんな馬鹿は盗賊くらいか。
途中、チーグルの森へ寄って小さな聖獣を連れて行く。
ソーサラーリングを貸し出して貰えなかった為、話しかけられている内容はわからないが、やけに嬉しそうなことは伝わってくる。
久々に会えば、元気に跳び回っていた聖獣は、痩せ、衰え、毛ヅヤも良くない。
この二年はそれほどまでに長かったのだろうか。
振り返る記憶の中には盲目に仕事に打ち込んでいたことしか、思い出されない。
平和条約が結ばれたことによる弊害、預言廃止後の混乱の鎮火、レプリカ保護法案。
すべきことの多さに、全てを忘れることが出来た。
いや、考えずに済んだ。
だがこの小さな聖獣は、二年を祈り、願うことのみに費やしてきたのだろう。
柔らかな風と共にセレニアの花の香りが広がる。
私は、その中に佇み続けた。

いつの間にかあたりは暗く、夜特有の静けさが広がっていた。
「よう!ジェイドの旦那!」
ガイの声と共に女性陣の再会を喜ぶ声が聞こえてくる。
少しの間、近況を話し合った。
彼の話をする者はいない。
話した瞬間に思い出になるとわかっているから、か。
おもむろにティアが大譜歌を紡ぎだす。
それだけで、あたりに第七音素が集結していくのが感じ取れる。
歌の終わりと共に、それもまた空気に融け拡散していく。
みな、何も言わず背を向ける。
無言で歩きながら。
祈るように、念じるように。

帰ってきなさい、帰ってきなさい、……帰ってきてくださいっ!!

「ルーク……!」

締め付けられる胸を押さえ、その名を呼んだ瞬間、莫大な量の第七音素が集結するのを感じ取った。
皆が振り返り、駆け寄っていく。
私はそれを見つめ、ゆっくりと近づいていく。
再会を喜ぶことよりも、幾度も思いつき、幾度も考えるのを放棄した事柄が浮かぶ。
コンタミネーション現象、ビックバン、起こりうる仮説。
決戦直前の状況、魂の定義、起こるべき現象。
考えるな、考えるな。
信じている、信じたい。
歩み寄り、お帰りなさいと言えば。
ただいまと返ってくる返事。
顔が同じであっても、声が同じであっても。
違和感が、
拭えない。

小さな聖獣が不思議そうに首を傾げる。
それが私に確信を与える。
この仮説だけは、間違っていて欲しかった。

魂の融合
ルークであり、アッシュであり。
ルークではなく、アッシュでもない。

『ルーク』


その瞬間に
いつか帰ってくると
待っていることで得られる希望を
砕かれた

希望を抱いて待つことすら許されない

『彼』は帰ってきてしまったのだから


その瞬間私は確かに死んだ


無駄に長かったですね。すいません。
実は逆行小説の序章だったりするんです。

拍手

ブログ内検索

 

カウンター

 

カレンダー

03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

 

プロフィール

HN:
理人
性別:
非公開
職業:
在宅でPCで何かする人。
趣味:
読書(SS含む)
自己紹介:
完結済みを一気読み(見)するのが好きなため、オワコンに嵌る率が高い。
三大欲求の頂点が睡眠欲。春夏秋冬眠。
仕事が立て込むと音信不通。仕事するか寝るかしかしなくなる。
たまに食う。

 

リンク