今度こそ、貴方と正面から向き合いたい。
私の心はこんなにも、貴方だけを望んでいる。
たとえ傲慢と言われようとも、貴方を傷つけようとする全てから貴方を護りたいと思いつつ
貴方を至らせる為に貴方を傷つけることを厭わない。
傲慢で、強欲で、自分勝手で。
本当にどうしようもない男です。
けれど、貴方を愛している。
私が持っているものは、ただその想いだけ。
貴方が私の全てであるから。
それが、それだけが私がここにいる理由。
セントビナーが神託の騎士団に監視されてたけど、
丁度よくエンゲーブの馬車が来て、乗せてもらうことが出来た。
「それで、アニスとはどこで落ちあ
うっ!!「
ルークぅううう!!」
突然どこからともなく現れたガイに羽交い絞めにされる。
「なっ、ガイ!どうしたんだ…っつうか、うざいから離れろ!」
地面に押し倒されてスリスリされる。うざいっていうかキメェ!!
「ルークはつれないなぁ……お前を迎えに来るためにはるばる陸路で旅してきたっていうのに……。」
力を込めて抱きしめてくる。いてぇっつうの……
「ん?お前さんちょっと縮んだか?」
「え!?」
「なんか、腰周りも細くなったような……」
うそだろ!?まだ三日しか経ってないってのに……
「感動の再会中にすみませんが、ルーク、紹介してもらえますか、そのセクハラ青年を。」
ジェイドがガイの頭を俺がミュウにやるみたいにグリグリ踏みつける。
(……旦那…青筋立ってないか…?)
「ん、あぁ。こいつガイ。」
立ち上がって服についたほこりを払う。
「おいおい、そんな紹介の仕方はないだろう。」
呆れたように言われても、それ以外の紹介の仕様がねぇじゃねぇか。
「初めまして、俺の名はガイ・セシル。ファブレ家で使用人をさせてもらっていてね。」
かっこつけて挨拶してるけど、後頭部に踏まれた後がくっきり入っててダサいことこの上ない。
イオンと、ジェイドが自己紹介をしながら握手をする。
(いてててて……、なんだ大佐、なんで怒ってるんだ?初対面のはずじゃ……まさか……?)
「初めまして、ガイ。」
(ニヤリと笑われる。マストの上でもワザとらしく行き先を教えてくれたし……
あぁ、こりゃ俺と一緒か。じゃあもしかしてティアも?)
「初めまし……。」
握手を求めるティアに、怯えたようにあとずさるガイ。
「あー、ティア。そいつ女嫌いだから。」
一歩、二歩、三歩。
「ひぃぃ……。」
こいつ、ほんとこういう時ダセェよな。
「わかったわ、貴方には必要以上に近づかないようにする。」
「すまない……。」
(どうやらティアは違うらしいな。)
「さぁ!話がまとまったところで先へ進みましょうか。」
(相変わらず食えないおっさんだよ。)
「あー!ちょっと待ってくれ、ガイ!ちょっとこっちこっち。」
俺はガイを引っ張って皆から離れる。
「なんだなんだ?皆には離せないような話か?あぁ、俺に会えなくて寂しかったのか?」
「ちっげーよ。そうじゃなくて薬だよ薬。持って来てくれたんだろ?」
三日飲まなくてガイが気付くくらいなら、あと五日もしたら完全に体がかわってきちまう。
「あー……すまん。あの時は焦っててな。忘れてきた。」
(実は可愛いルーク見たさにわざと持ってこなかった。すまんルーク。)
「えー!?どーすんだよ!」
「まぁ、ほら、いいじゃないか。中性的なお前さんもなかなか可愛いし。」
「ばっかじゃねーの?」
「いやいや、別に今のルークが可愛くないわけじゃないぞ?今のお前だって十分……」
ペラペラ喋りだすガイを無視して、皆の所に戻る。ほんとこいつって昔からこんな感じで……
しかし、どーっすっかなぁ……途中で手に入れられるような薬じゃないし。
とにかく早く帰るしかないか……。
アニスとの合流地点はカイツール。
向かうにはフーブラス川を越える必要がある。
やはり彼女は来るのでしょうかねぇ。
ルークが川を目の前にして目をキラキラと輝かせる。
違う、あなたはここで靴が濡れるのを嫌がるはず。
ガイの影響か?記憶を宿して戻ってきたガイが、何かしらの影響を与えたのだろうか……。
「さて、行くとしますか。」
ガイの呼びかけに、川を嬉しそうに凝視していたルークが眉をひそめる。
「えー、靴濡れんじゃん。」
言葉に違いはあるが、以前と変わらぬ会話が始まる。
違う、そうか。違っていたのは私だ。
あの時の私は、彼に心を砕いていなかった。
ただ、便利だから利用したに過ぎない。
だから、気付けなかった。
はじめて見る世界に、彼の心はどれほどの喜びを覚えたのだろう。
私達との旅の中で、皆に気付かれないように彼は食い入るようにこの世界を見つめたのか。
いま、そんな彼の心に気付けたことをとても喜ばしく思う。
「ルーク、そういう時は靴を脱げばいいんですよ。ついでに水遊びなんていうのもいいかもしれません。」
少し私が気配を表に出せば魔物は寄ってはこないだろう。
「そうか、ルークは川初めてだもんな。水遊びは楽しいぞ。」
ルークはかったりーと言いながら手を頭上で組む。
言葉とは裏腹に、顔は全力で遊びたい、と主張してる。
その様子に、ガイと目を合わせ互いに苦笑いした。
「ミュウはよく川で遊んだですの!ご主人様と一緒に遊びたいですの!」
飛び跳ねるミュウに、川で遊ぶその姿を想像したであろうティアが何故か頷いている。
「僕も、川で遊びはしたことがありません。少し休憩しつつ遊ぶのもいいかもしれませんね。」
その一言で、まるで説得されてしかたなく折れたかのようにルークが靴を脱ぎ始める。
「あぁ、ルーク。川の中には鋭利な石があるかもしれません。怪我しても…」
「わーってるよ、別に文句なんていわねーって。」
無邪気に川遊びが始まる。
盛大に水をかけられたせいで、水が喉に入ったのだろう、ミュウが苦しそうにむせている。
それを見ていたティアが猛烈な勢いで抗議をしていたが、
そんなティアに恐れもせず水をかけ、ケラケラと笑っている。
そして怒ったティアに思いっきり逆襲を食らう。
岩場に腰かけ、そんなルーク達の様子を見ながら楽しそうに足で水を蹴る導師イオン。
二歳と七歳。これが本来歳相応の遊びなのだろう。
限られた世界で生き、宿命を背負う彼らが少しでも幸せを感じることが出来たら。
そう思うようになった自分に少しの驚きと喜びが湧く。
「私も変わりましたねぇ……。」
「そりゃ、変わりもするんじゃないですか。」
共に様子を見ていたガイが探るように話しかけてきた。
「会ったばかり人間に対して言う言葉ではありませんね。やはり気付きましたか。」
「まぁな。行き先、教えてくれただろ旦那。まぁ、知ってたんだが。」
「そのようですね。あの時の貴方はとっってもダサかったですねぇ。華麗に参上しそこねて。」
思い出したのだろう、ガイは頭を抱えて唸った。
「あー……。ま、まぁそんなことはどうでもいいさ。それより旦那、一つおかしいと思ったことがあるんだが。」
「何ですか?」
「タルタロスに乗ってた連中さ。目が死んでた…いや、生きてるように感じなかったんだが……。」
「あぁ、あれは私が作り出した幻影ですよ。タルタロスが占拠されることは知っていましたから。」
(さらっと怖いことを言う……。)
「普通の人間が出来ることじゃないだろう。もしかして俺がこうなったのもあんたの仕業か?」
(大佐が去った後、オールドラントの音素が在り得ない速さで消失した。そりゃあもう大混乱だったんだ。
その全ての原因は大佐じゃないか、そう陛下と話をしていた。第七音素の完全消失。
その直前に起きたルークの記憶喪失。その全てが大佐の仕業とすれば、
俺のこの状態も説明がつくような気がする。)
「私のせい、なんですかねぇ。私にもよくわかっていないんですよ。少し話が長くなりますが構いませんか?」
ガイが頷く。
「ルークの遺言であったレプリカ研究を再開しました。
まぁ、その為にディストを連れて行ったので犯罪者になってしまいましたが。」
「あぁ、知ってる。」
「研究を進めるうちに、ある理論に到達しました。
難しい話ですので省きますが、その為に大量の音素が必要になりましてね。」
彼に真相を教える気は毛頭無い。それを知れば彼は敵になるだろう。
全てがルークの為である事を、全てがルークを手に入れる為である事を知れば。
恋敵という名の敵に。
「やっぱり旦那の仕業だったか。」
「えぇ。その代わり譜業技術に成り代わるものが発達を見せるでしょうし、問題はないかと思いまして。」
「まぁ、確かに譜業に似た機械って技術が出来たけどな。これが凄いもんで熱の力を使ってじょ」
「その話は追々…聞きませんが、今は話を続けても?」
話が大きくずれそうだったので話を遮った。
「聞かないのかよ!あー、まぁ…すまない。続けてくれ。」
「えぇ。音素集結装置が暴走を起こし、その音素爆破に巻き込まれて死んでしまいました。
その時、集めた音素をどういう訳か体が吸収してしまったようです。」
大筋は変えずに、それでも真相は変えないように話をする。
「……大佐のその在り得ない強さはそのせいか……。」
「得したんでしょうかねぇ?まぁ、死に逝く最中にローレライが現れてこう言いました。
『我が分身であり、我が子であるルークが忍びない』と。
そして今の私の力があればルークを救えるかもしれないとね。」
「その為に時間を遡ったってことか!?」
驚きに声を上げたガイを諌め、今だ飽きずに水遊びを続けるルーク達を見る。
「まぁ、それが事の顛末です。
貴方方が戻ってきたのは多分ローレライが役に立つと思ったからではないですか?」
「あなた方って、つまり俺と旦那以外にもそういう奴がいるってことだよな?」
「えぇ。陛下と、アニスが。てっきりティアやナタリア辺りもそうなるかと思いましたが……ナタリアの様子は?」
「変わった様子は無かったな……。ナタリアのことだ、そんな状況になったら騒ぎ立てるだろうし。」
「まぁ、そうでしょうね。」
「それで、この後どうするんだ?」
「そうですねぇ……しばらくは前回起こった通りに進めていったほうがいいかと。
アニスとも話をしましたが、ローレライを解放することは必要です。
開放しつつ、ルークを救う手立てを考えるというところですかねぇ。
まぁ、この話はアニスとの合流を果してからにしましょう。」
ガイが頷いたところで遊びつかれたルーク達が戻ってきた。
本当は救う手立ては考えてある
いや、既に救うことは出来る
けれど私はそれをしない
歪んだ心 貴方を真に手に入れる為だけに
ごっそり書き直してしまいました(汗
しかし、駄文に拍車がかかっている……
なんだろう、最近萌えが足りない気がする……
カン×ザク(超マイナーカプ)と金×日に萌え萌えしてたせいかっ!

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