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お前に認めて欲しい 2


ルークの魂をルークの体に宿す。
本来入るはずであったまっさらな魂と、私の元へ来てくれた魂を。
「これで、どうなるのか……。」
『宿るべき魂が体に残り、そうでない魂はプラネットストームへ還る。』
「簡潔ですね。」
『あぁ……そしてとても惨いことだ。いずれ目覚めるだろう。
目覚めたのち、融合した魂の片方を貰い受けに来よう。』
「そうでした、疑問が……。」
『同じもの、変わりはしない。』
「明確な答えを有難うございます。」
『それでは私は他の者の元へ行かせてもらう。』
「えぇ、わかりました。」
私の魂の片割れも帰し、聖獣は『いずれ、また』とだけ言い残し帰っていった。
そしてルークが目覚めぬまま一ヶ月が過ぎた。

これは、夢なのか?
俺が、なんか言ってる。
皆が怒ってる。
いつも予知夢で見てるのと一緒のはずなのに、なんで俺空から見てるみたいになってるんだろう。
いつもは俺目線なのに。
『俺は親善大使なんだぞ!』
俺が、怒りながらわめく。
「うっわー、こいつ性格最悪じゃん。」
「悪かったな最悪で。」
「うっうわっ!」
突然隣に髪の短い俺が現れた。
「だ……誰だよお前!」
「俺?ルーク。あ、つってもレプリカのほうな。」
「レプリカって……やっぱり師匠が言ってたのってほんとなんだ……。
でも、何だよレプリカってどういうことだよ!」
「それは後々見れる。
それより俺としてはお前が、俺がルークって言ったことに驚かなかったほうが気になるんだけど。」
「それだって驚きだっつうの!どういうことかわけわかんねぇ!」
「ま、それも見てれば分かるって。多分、俺が見てたからさっきのも見れるはずだから……。」
「なんだよ、わっけわっかんねぇな!」
「いいからいいから、黙ってみてろって。」
俺は舌打ちをして、進む夢を見続ける。

静かに、俺の過去を見始めた『ルーク』に小さく聞こえないくらいの声で謝った。
ごめん、それしか言えない。
俺は、お前の位置を奪うんだ。
アッシュから奪ったように、お前の居る位置を、また……

全部、見た。
これが本当なら……俺…おれっ……
本物のルークが俯いてる。
「俺さぁー消えちゃ…うのか…な……。」
明るく言おうとしたのに、勝手に涙が出てきて。
俺、ジェイドのこと好きだった。
ヴァン師匠みたいに、全部受け入れてくれるだけじゃなくって。
怒ってくれて、一緒に考えてくれて。
でも、全部俺の為じゃなかった。
全部目の前にいる、本物のルークの為だった。
泣いて、泣きじゃくって。
その間ずっとルークが背中を撫でてくれた。
嗚咽もとまった頃、ルークがぼそっと呟いた。
「……ごめん。」
乱暴に涙を拭って、笑うように心がけた。
「謝んなよ、俺可哀想みたいじゃん!」
「だって……。」
あー、困らせちまったかな。
「あんたさー、見てきて思ったけど卑屈っつうか、すぐ謝んのやめたほうがいいよ?それ結構ぐさっとくる。」
「ご…ごめん……。」
「まぁいいけどさー。」
話が続かない。
「なぁ、あんたさ、ジェイドのこと好きなの?」
ルークの顔が真っ赤になる。
「やっぱ、そうだよな。俺も好き!まぁ、お前の好きとちがう好きだけど。」
あんな強い想いみちゃったら、何も言えないよ。
この体あんたに還すよ。
だから……だから……。
ゆっくり頬を伝う涙が邪魔だけど、お前に伝えるよ。
「全部、ぜーんぶお前に還すから、幸せになってくれよな!この後ヴァンとまた戦わなくちゃいけないだろうし、
大変だと思うけどあんたとジェイドなら大丈夫だろ。」
あはは、ルークも泣いてら。
「魂は還るんだ。軟禁されて、あの本と出会って、そうだったらいいなって思ってた。
今度は俺幸せになってやるよ。ううん、俺幸せだった。だから……」
何を言いたいのかわかんなくなっちまった。
「俺に名前くんない?」
「え?名前?」
「うん。ルークだったアッシュはあんたにルークって名前くれた。だからあんたが俺に名前くれよ。」
そしたら俺、俺になれる。そう、思う。
ルークが考えるように腕を組む。
「……アリア。」
「なんか、女みたいな名前だな…まぁ、いっか。」
「ご…」
「ごめん?」
「う、ううん。」
慌てたように首を横に振る。
「ありがとう、ルーク。あ、皆には俺の存在言うなよ?
ジェイドは知ってるけど……今きっと大変なはずだし、混乱させたくないし……。」
「でも……いや、わかった。」
「あぁ…還る時が来たのかなぁ。」
意識が遠くなっていくのがわかる。
「ジェイドに伝えて…あんたじゃなかったけど、優しくしてくれて嬉しかったって。
本当はガイにもそういって欲しいけど……。」
「全部終わったらガイにも言うっ!」
体が消えていく。
「うん……ありが…と……」
あーあ、読もうと思って持ってきたありじごくにんの童話読み損ねちまったよ。
そんなことを考えながら、俺は還っていったんだ。

俺 お前に認めて欲しかったよ
きっと 気付いてたんだな
お前がみてるのが俺じゃないって
だからさ幸せになってよ
それが 俺の一番の願い


ありがとう 優しくしてくれて


考えてた内容にきちんと持っていけて良かった……

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プロフィール

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理人
性別:
非公開
職業:
在宅でPCで何かする人。
趣味:
読書(SS含む)
自己紹介:
完結済みを一気読み(見)するのが好きなため、オワコンに嵌る率が高い。
三大欲求の頂点が睡眠欲。春夏秋冬眠。
仕事が立て込むと音信不通。仕事するか寝るかしかしなくなる。
たまに食う。

 

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