なんかよくわかんねぇけど
お前に認めて欲しいんだよ
あんなに俺の言うこと
真剣に聞いて
真剣に応えてくれたのに
急に冷たくなったりするから!
気になってしょうがないじゃねぇか!
イオンが攫われたり、ナタリアが着いてくるとか言い張ったり、俺にそっくりの奴にあったり……
アクゼリュスまでの道のりは大変だったと思う。
薬を飲まなくなるとすぐに体が変わってきちまうのに、元に戻すのに時間がかかるのが気になる。
みんなにばれるほどの変化ではなかったけど、おかげで前より考え込むようになっちまったし、
ト…トイレちょっと不便だし……。
でも、そんなことよりなによりジェイドが……。
ちらりと盗み見ると、ジェイドはガイ、アニスと話をしていた。
ふとジェイドと目線があって、俺は慌てて目をそらした。
「奥に重体の方々がいるようです。まずは彼等を救出に行きましょう。」
「ですが、ここにいらっしゃる方はどうするのです!?」
ナタリアがまわりを見渡して声を上げた。
「まだそんなに瘴気にやられてない人たちに手伝ってもらおう。
奥はもっと瘴気が深いって話しだし、魔物も出るって話だ。動ける俺たちが行くべきだろう。」
なんだか苦々しい顔をしているガイ。
「……わかりましたわ。」
ナタリアが静かに頷き奥を目指すことになった。
でも、なんでだろう。
救助隊も到着してるはずなのに、まだ沢山の人が残ってる。
俺が瘴気を中和するって分かってるからヴァン師匠が動かさないように指示したのか?
ティアが、第七譜石が見つかったとかで呼び出されて行っちまった。
奥までたどり着くと沢山の人が倒れていた。
駆け寄ろうとしたら、ガイに肩を捉まれた。
「お前さんはやるべきことがあるんだろ?」
「な……なんでガイが知ってんだ?」
さっきこいつらが話してたのはそのことなのか?
「とにかく、俺たちもついていくから。」
「はうぁ、イオンさま、無理しないで下さいね!」
一緒にいたイオンはきょとんた顔をして頷いた。
「とにかく急ぎましょう。私も大仕事が待っているので。」
何が、なんだかわからない。
不安で、心が潰れそうなぐらい不安で。
なんだ?なんでこんなに不安になるんだ!?
でも、みんなに何も言えない……
俺は促されるままに師匠の元に急いだ。
『愚かなレプリカルーク』
冷たい目をした師匠が俺のことを蔑むように……
言うことを聞かない体が、勝手に超振動を起こそうとする。
「うっ…うあーーーーーーーーーー!!!」
ジェイドが駆け寄ってくる。
俺の両腕を取って、何かを呟いた。
その瞬間ジェイドの力みたいなのが体に入ってくる感覚がした。
「くっ…意外と制御が難しい。ルーク!集中しなさい!」
手の先に集中する。
その刹那、膨大な量の記憶が頭の中に流れ込んできた。
「いけないっ!記憶っがっ……ぐっ!」
そのまま、俺は意識を失った。
大地の降下は上手くいった。
正直、ジェイドの旦那があそこまで強い力を持っているとは思わなかった。
気を失ったルークを支えながら、
パッセージリングの力も借りずにゆっくりと大地を降下させちまったんだから。
「なぁ旦那、記憶ってなんだ?」
一室、ルークを寝かせているベッドの傍にみんな集まっている。
「ルークが気を失ったままなのと関係があるんじゃないか?」
大佐は黙ったまま。
「いや、『ルーク』が廃人になったのと……。」
「ちょっとガイ!」
アニスが声を上げる。ティアたちが訳が分からないという顔をしているが、しったこっちゃない。
胸倉を掴もうとしたその時、すごい光が目を覆った。
『やっと、見つけた。』
目の前に現れたのは狐に似た姿をした青い獣。
獣は私たちを一瞥した後、眠るルークに目を向けた。
『何故、ご主人様が……』
「ご主人…さま?」
そういったのは誰だったか。
『我はチーグル族より至る聖獣。ここにいるミュウの未来の姿。』
話を上手く理解できず、少しの間止まってしまった。
その中で一番冷静だったのがミュウであったのは腑に落ちないが。
「ミュウはこんなにかっこよくなるですの?すごいですの!」
『それは別れた未来での話し。お前はお前の未来を歩むことになろう。』
残念そうに耳をたれるミュウに次いで口を開く。
「……なるほど、貴方のその姿がユリアの書に出てくるチーグルという訳ですか。
それで貴方は何をしにここへ?」
何故か私を強く見つめ、何かその先にあるものを見通したかのように唸った。
『本来その世界にあるべき魂を取り戻しに、そしてあるべき器にあるべき魂を宿す為に。』
あるべき器にあるべき魂を……?
『この世界は、今均衡を保てなくなろうとしている。
その原因は魂の重複、そしてここに来ることによって気付いたが魂と器の拒絶。』
理解が出来ない。
聖獣は、ルークの元へ歩み寄る。
『惨いことを…することになる。王よ、手伝って貰おう。他のものは部屋を出るように。』
「ふむ……わかりました。と、いうことですので、皆さんご退室願えますか?」
皆がしぶしぶ部屋を出る。
後で「王」について言及されることになるのだろう。頭が痛い。
「それで?一体どういうことですか。魂と器の拒絶とは。貴方の言う惨いこと、とは?」
『その前に言うべき事がある。皇帝、そしてお主と共に来たものの魂は既に取り戻してある。残る魂は五つ。』
私…ガイ、アニス……ローレライ。
残り一つは?
『お前がルーク様の記憶を取り去ったのち、多くの年月が流れた。
そして私は聖獣に至り、世界が崩壊の時を迎えているのを知る。
その原因は世界を去った魂からくるもの。そして、オリジナルとレプリカの魂の融合からくるもの。
私は融合した魂、その全てを分離した。ルーク様も…また然り。
だがその時、ルーク様の魂は消え失せてしまった。探せど見つからず、私はこの世界へ来ることを先じた。
そして今やっと見つけることが出来た。お前の中に。』
「私の……中に?」
ルークが、ずっと……
『求めたのだろう。お前を。』
私と同じように…ルークも……
『ルーク様の体に宿る魂は本来ルーク様が宿るべきであった魂ではない。
その相異が起きたのは体が本来あるべき形を取らなかった故であろう。』
「…………。」
『惨いことをすることになる。』
魂を入れ替えるということか。
それはつまり今のルークを心を、殺すこと。
何故いつも欲しいものを求めると、悲劇を生むのか。
『悲しみの業はいずれ終わるものだ……』
まるで私の思考を汲み取ったかのように聖獣が呟いた。
文才が…ほすぃ( ゚Д゚)

PR