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歪んだ心


あの日から、私は歪み狂った
貴方に再会した今でも
狂人のまま
自嘲する
つくづく、歪んでいると
貴方を手に入れる為に歪んだ心が、元に戻る日はくるのだろうか。


アリエッタと会うことはなかった。母の言い付けを守ったのだろう。
カイツールでアニスと合流し、今後の話を済ませる。
「そういえば一つ気になったことがあるんだが。」
話の終わりにガイが思い出したように切り出した。
「アニス、お前さん今回もスパイなのか?」
今回、との言い方が言い得て妙か。
「それは乙女のひ・み・つ☆」
「おいおい、そりゃ暗にスパイだって言ってるようなものじゃないか。」
確かにアニスはスパイを続けている。
「スパイで居てもらったほうがいいでしょう。
ある程度、前回をなぞって行動したほうがいい、との話は付いている筈です。
その為にはモースにも前回通り動いていただかないといけませんからねぇ。」
「ていうかーこうなったのがモースにスパイしろって言われてる最中でぇ。
アニスちゃんとしてはスパイなんてもうこりごりなんですけどぉー。」
「ですが導師イオンにまたお会いすることが出来た。スパイになれてよかったー、と思うべきなのでは?」
実際、こうなったからにはアニスは導師イオンを救うことに全力になるだろう。
望まぬ現実を、望むべくものに変えるために。
「ま、二重スパイとしてアニスの活躍に期待ってとこだな。」
「まっかしといて!アニスちゃん大活躍しちゃうから!」
「話の区切りがついたところで、軍港に向かいましょう。
アリエッタが軍港を襲っていなかった場合はヴァンを適当に言いくるめてコーラル城へ。
アッシュは確実にいるでしょうから。」
「ん、だな。」

ルークも早く先に進みたがっていた為、宿には泊まらずそのままカイツール軍港に向かうことになった。
ついてみればアリエッタが今だ葛藤を顔に刻みつつ目の前に現れ、前回と同様に事が進む。
コーラル城に向かう途中、無理が祟ったのだろう、イオン様が具合を悪くしそこで野宿をすることになった。
見張りをしつつルークが寝るのを待つが、一向に寝る気配が無い。
そっと傍に近寄り腰を下ろす。
「眠れませんか。」
優しく話しかけたつもりが、ルークはビクッと肩を寄せてから、寝返りを打ちこちらを向く。
「びっくりさせんなっ……。」
気配無く近寄ったつもりはなかったが、
まだ武術に長けていないルークは気配を敏感に感じ取ることが出来ないのだろう。
「すいませんね、驚かせるつもりはなかったんですが。
……それで、眠れない理由があるのでしょう?何を思い悩んでいるのか聞かせてはもらえませんか?」
小さく、唸る。
「……笑うなよ?」
話をするには行儀悪く寝転がったまま目だけを合わせてくる。
「真剣に話をしようとする人を笑うような悪癖は持ち合わせていませんから。」
やれやれとオーバーに肩を竦めて見せる。
すると、ルークは左手を空に掲げ、握ったり開いたりを繰り返す。
「……感触が…消えないんだ。」
どんな、と聞くまでもなく、人を切った感触だと推測できる。
無言で居るとルークは尚も続けた。
「やるって言ったからには、やる。
それが平和に繋がるってんなら斬る。だけど、前も言ったけど考えちゃうんだ。」
悲しげに左手を見つめてから、その手を下ろした。
「死んでいった奴にあった筈の未来とか、そいつの家族とか……ジェイド言ったよな?
全部背負って頑張ればいいって。」
「おや、そんな風に解釈されていたとは困りましたね。」
「へ?」
眉を寄せ、腕を組めばきょとんとした顔のルークが上体を起こし首を傾げる。
「私は背負え、なんて言ったつもりは微塵もありませんよ。
いいえ、むしろ貴方にそんな苦しみは一つたりとも背負ってなんか欲しくありませんね。」
きっぱりとそう言えば、さらに不思議そうな顔をされる。
「私は奪ってしまった命を胸に、今を生きている人々の未来をつくっていけばいいと、そう言った筈です。
奪った命の責任を取れなんて言っている訳ではありませんし、ましてや重責を感じて猛進されても困ります。」
「え?だってそういう意味じゃねぇの?」
そんな風に受け取られていたとは思いもしなかった。
彼が思い悩んだ結果、全ての責任を負おうとした結果を私は知っているというのに。
浅はかな発言だったか、ルークの思慮が足りないのか。
いや、思慮が足りなかったのは私か。
ルークはまだ7歳だと言うのに、言葉の意味を正しく汲み取ることが出来るはずも無い。
ふっと苦笑いを洩らすとルークは頬を膨らました。
「なんだよ、俺が馬鹿だって言いたいのかよ?」
「いいえ、自分に呆れていただけです。いいですか、ルーク?」
しっかりと顔をあわせ、目を見つめる。
返すようにルークも私の目を見つめたが直ぐに俯かれた。
「な、なんだよ。」
「貴方は今日食べたレタスの一生を背負いますか?」
途端に「はぁ?」と返された。
「だって草じゃん。」
「おや、草だって生きていますよ?それでは……昨日食べた豚の一生を背負いますか?」
「うっ……。」
レタスでは通じず、豚で通じるのもどうかと思うが、あえてそこは言及しないことにする。
「豚に至っては殺すどころか食べてしまっているんですよ?」
眉を寄せ、うぅ~んと唸る。
「貴方の命を頂いて糧にします、ありがとう。と感謝はしても、一生を背負って生きます。
とは思わないでしょう。」
「そりゃそうだけど……豚と人を同じにするか普通?」
「同じです。言葉を発するか発しないかの違いだけです。
豚だって死ぬ間際に悲鳴を上げます、死にたくないと思うでしょう。」
私達は日々命を奪うことで生きている。
「命に大きいも小さいもありません。
もしかしたらここに生えている木だって以前は人であったかもしれません。
いつか貴方が豚になる日だって…くるかもしれませんよ?」
「それ、知ってる!輪廻って言うんだろ?
ラムダスに勧められた本で読んだな。生まれ変わって、また会えるって。」
『生まれ変わって、また会える』
その言葉に、ふとあの日の事を思い出してしまった。
ルークが消えた日、雪に包まれたケテルブルク。
そう、あの時ルークが歌った歌を、私のこの想いを気付かせたあの歌を。
「そっか、そうだよな。みんな生きててみんな同じなんだよな。だから……ジェイド?」
意識せずとも俯いてしまったのだろう、顔を覗き込まれてしまった。
「どうした……?なんか苦しそうだけど……。」
今、ルークは目の前に居るのだというのに。
彼がルークのはずだというのに。
「いえ、なんでもありません。とにかく私が言いたかったのは、
奪ってしまった命を平和の糧に、感謝をしつつ前に進めばいいのだということです。」
「あぁ、わかったよ。」
頷いてルークは体を横たえる。
私は静かに「おやすみなさい」と呟き傍を離れた。


貴方を手に入れたい。もう苦しい思いはしたくない。
実際貴方は私の直ぐ傍にいるというのに。
何故、こうも苦しいのか。
胸騒ぎが収まらないのか。


ざわめく 魂


ジェイドが何か、感じてますね。
確実にルークであるはずなのにルークではないと。
私の愛したルークは儚く散っていってしまったあのルークなのだと。
至らせようと、そうさえすればいいはずだと思っていたのに、既に違和感がある。
ジェイドって完璧を求める人だから、ちょっとした相違で今のルークに拒絶を感じてしまいはじめてるのかも。
まぁ、こんな感じに書くつもり微塵もなかったんですけどねっ!
これ…ジェイルクのはずなのに……展開によっちゃ悲恋で終わっちゃいますよね。
でも大丈夫。ちゃんと考えてある。多分、きっと、おそらく。

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在宅でPCで何かする人。
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読書(SS含む)
自己紹介:
完結済みを一気読み(見)するのが好きなため、オワコンに嵌る率が高い。
三大欲求の頂点が睡眠欲。春夏秋冬眠。
仕事が立て込むと音信不通。仕事するか寝るかしかしなくなる。
たまに食う。

 

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