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お前に認めて欲しい 2


ルークの魂をルークの体に宿す。
本来入るはずであったまっさらな魂と、私の元へ来てくれた魂を。
「これで、どうなるのか……。」
『宿るべき魂が体に残り、そうでない魂はプラネットストームへ還る。』
「簡潔ですね。」
『あぁ……そしてとても惨いことだ。いずれ目覚めるだろう。
目覚めたのち、融合した魂の片方を貰い受けに来よう。』
「そうでした、疑問が……。」
『同じもの、変わりはしない。』
「明確な答えを有難うございます。」
『それでは私は他の者の元へ行かせてもらう。』
「えぇ、わかりました。」
私の魂の片割れも帰し、聖獣は『いずれ、また』とだけ言い残し帰っていった。
そしてルークが目覚めぬまま一ヶ月が過ぎた。

これは、夢なのか?
俺が、なんか言ってる。
皆が怒ってる。
いつも予知夢で見てるのと一緒のはずなのに、なんで俺空から見てるみたいになってるんだろう。
いつもは俺目線なのに。
『俺は親善大使なんだぞ!』
俺が、怒りながらわめく。
「うっわー、こいつ性格最悪じゃん。」
「悪かったな最悪で。」
「うっうわっ!」
突然隣に髪の短い俺が現れた。
「だ……誰だよお前!」
「俺?ルーク。あ、つってもレプリカのほうな。」
「レプリカって……やっぱり師匠が言ってたのってほんとなんだ……。
でも、何だよレプリカってどういうことだよ!」
「それは後々見れる。
それより俺としてはお前が、俺がルークって言ったことに驚かなかったほうが気になるんだけど。」
「それだって驚きだっつうの!どういうことかわけわかんねぇ!」
「ま、それも見てれば分かるって。多分、俺が見てたからさっきのも見れるはずだから……。」
「なんだよ、わっけわっかんねぇな!」
「いいからいいから、黙ってみてろって。」
俺は舌打ちをして、進む夢を見続ける。

静かに、俺の過去を見始めた『ルーク』に小さく聞こえないくらいの声で謝った。
ごめん、それしか言えない。
俺は、お前の位置を奪うんだ。
アッシュから奪ったように、お前の居る位置を、また……

全部、見た。
これが本当なら……俺…おれっ……
本物のルークが俯いてる。
「俺さぁー消えちゃ…うのか…な……。」
明るく言おうとしたのに、勝手に涙が出てきて。
俺、ジェイドのこと好きだった。
ヴァン師匠みたいに、全部受け入れてくれるだけじゃなくって。
怒ってくれて、一緒に考えてくれて。
でも、全部俺の為じゃなかった。
全部目の前にいる、本物のルークの為だった。
泣いて、泣きじゃくって。
その間ずっとルークが背中を撫でてくれた。
嗚咽もとまった頃、ルークがぼそっと呟いた。
「……ごめん。」
乱暴に涙を拭って、笑うように心がけた。
「謝んなよ、俺可哀想みたいじゃん!」
「だって……。」
あー、困らせちまったかな。
「あんたさー、見てきて思ったけど卑屈っつうか、すぐ謝んのやめたほうがいいよ?それ結構ぐさっとくる。」
「ご…ごめん……。」
「まぁいいけどさー。」
話が続かない。
「なぁ、あんたさ、ジェイドのこと好きなの?」
ルークの顔が真っ赤になる。
「やっぱ、そうだよな。俺も好き!まぁ、お前の好きとちがう好きだけど。」
あんな強い想いみちゃったら、何も言えないよ。
この体あんたに還すよ。
だから……だから……。
ゆっくり頬を伝う涙が邪魔だけど、お前に伝えるよ。
「全部、ぜーんぶお前に還すから、幸せになってくれよな!この後ヴァンとまた戦わなくちゃいけないだろうし、
大変だと思うけどあんたとジェイドなら大丈夫だろ。」
あはは、ルークも泣いてら。
「魂は還るんだ。軟禁されて、あの本と出会って、そうだったらいいなって思ってた。
今度は俺幸せになってやるよ。ううん、俺幸せだった。だから……」
何を言いたいのかわかんなくなっちまった。
「俺に名前くんない?」
「え?名前?」
「うん。ルークだったアッシュはあんたにルークって名前くれた。だからあんたが俺に名前くれよ。」
そしたら俺、俺になれる。そう、思う。
ルークが考えるように腕を組む。
「……アリア。」
「なんか、女みたいな名前だな…まぁ、いっか。」
「ご…」
「ごめん?」
「う、ううん。」
慌てたように首を横に振る。
「ありがとう、ルーク。あ、皆には俺の存在言うなよ?
ジェイドは知ってるけど……今きっと大変なはずだし、混乱させたくないし……。」
「でも……いや、わかった。」
「あぁ…還る時が来たのかなぁ。」
意識が遠くなっていくのがわかる。
「ジェイドに伝えて…あんたじゃなかったけど、優しくしてくれて嬉しかったって。
本当はガイにもそういって欲しいけど……。」
「全部終わったらガイにも言うっ!」
体が消えていく。
「うん……ありが…と……」
あーあ、読もうと思って持ってきたありじごくにんの童話読み損ねちまったよ。
そんなことを考えながら、俺は還っていったんだ。

俺 お前に認めて欲しかったよ
きっと 気付いてたんだな
お前がみてるのが俺じゃないって
だからさ幸せになってよ
それが 俺の一番の願い


ありがとう 優しくしてくれて


考えてた内容にきちんと持っていけて良かった……

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お前に認めて欲しい 1


なんかよくわかんねぇけど
お前に認めて欲しいんだよ
あんなに俺の言うこと
真剣に聞いて
真剣に応えてくれたのに
急に冷たくなったりするから!
気になってしょうがないじゃねぇか!


イオンが攫われたり、ナタリアが着いてくるとか言い張ったり、俺にそっくりの奴にあったり……
アクゼリュスまでの道のりは大変だったと思う。
薬を飲まなくなるとすぐに体が変わってきちまうのに、元に戻すのに時間がかかるのが気になる。
みんなにばれるほどの変化ではなかったけど、おかげで前より考え込むようになっちまったし、
ト…トイレちょっと不便だし……。
でも、そんなことよりなによりジェイドが……。
ちらりと盗み見ると、ジェイドはガイ、アニスと話をしていた。
ふとジェイドと目線があって、俺は慌てて目をそらした。
「奥に重体の方々がいるようです。まずは彼等を救出に行きましょう。」
「ですが、ここにいらっしゃる方はどうするのです!?」
ナタリアがまわりを見渡して声を上げた。
「まだそんなに瘴気にやられてない人たちに手伝ってもらおう。
奥はもっと瘴気が深いって話しだし、魔物も出るって話だ。動ける俺たちが行くべきだろう。」
なんだか苦々しい顔をしているガイ。
「……わかりましたわ。」
ナタリアが静かに頷き奥を目指すことになった。
でも、なんでだろう。
救助隊も到着してるはずなのに、まだ沢山の人が残ってる。
俺が瘴気を中和するって分かってるからヴァン師匠が動かさないように指示したのか?
ティアが、第七譜石が見つかったとかで呼び出されて行っちまった。
奥までたどり着くと沢山の人が倒れていた。
駆け寄ろうとしたら、ガイに肩を捉まれた。
「お前さんはやるべきことがあるんだろ?」
「な……なんでガイが知ってんだ?」
さっきこいつらが話してたのはそのことなのか?
「とにかく、俺たちもついていくから。」
「はうぁ、イオンさま、無理しないで下さいね!」
一緒にいたイオンはきょとんた顔をして頷いた。
「とにかく急ぎましょう。私も大仕事が待っているので。」
何が、なんだかわからない。
不安で、心が潰れそうなぐらい不安で。
なんだ?なんでこんなに不安になるんだ!?
でも、みんなに何も言えない……
俺は促されるままに師匠の元に急いだ。

『愚かなレプリカルーク』
冷たい目をした師匠が俺のことを蔑むように……
言うことを聞かない体が、勝手に超振動を起こそうとする。

「うっ…うあーーーーーーーーーー!!!」

ジェイドが駆け寄ってくる。
俺の両腕を取って、何かを呟いた。
その瞬間ジェイドの力みたいなのが体に入ってくる感覚がした。
「くっ…意外と制御が難しい。ルーク!集中しなさい!」
手の先に集中する。
その刹那、膨大な量の記憶が頭の中に流れ込んできた。
「いけないっ!記憶っがっ……ぐっ!」
そのまま、俺は意識を失った。

大地の降下は上手くいった。
正直、ジェイドの旦那があそこまで強い力を持っているとは思わなかった。
気を失ったルークを支えながら、
パッセージリングの力も借りずにゆっくりと大地を降下させちまったんだから。
「なぁ旦那、記憶ってなんだ?」
一室、ルークを寝かせているベッドの傍にみんな集まっている。
「ルークが気を失ったままなのと関係があるんじゃないか?」
大佐は黙ったまま。
「いや、『ルーク』が廃人になったのと……。」
「ちょっとガイ!」
アニスが声を上げる。ティアたちが訳が分からないという顔をしているが、しったこっちゃない。
胸倉を掴もうとしたその時、すごい光が目を覆った。

『やっと、見つけた。』
目の前に現れたのは狐に似た姿をした青い獣。
獣は私たちを一瞥した後、眠るルークに目を向けた。
『何故、ご主人様が……』
「ご主人…さま?」
そういったのは誰だったか。
『我はチーグル族より至る聖獣。ここにいるミュウの未来の姿。』
話を上手く理解できず、少しの間止まってしまった。
その中で一番冷静だったのがミュウであったのは腑に落ちないが。
「ミュウはこんなにかっこよくなるですの?すごいですの!」
『それは別れた未来での話し。お前はお前の未来を歩むことになろう。』
残念そうに耳をたれるミュウに次いで口を開く。
「……なるほど、貴方のその姿がユリアの書に出てくるチーグルという訳ですか。
それで貴方は何をしにここへ?」
何故か私を強く見つめ、何かその先にあるものを見通したかのように唸った。
『本来その世界にあるべき魂を取り戻しに、そしてあるべき器にあるべき魂を宿す為に。』
あるべき器にあるべき魂を……?
『この世界は、今均衡を保てなくなろうとしている。
その原因は魂の重複、そしてここに来ることによって気付いたが魂と器の拒絶。』
理解が出来ない。
聖獣は、ルークの元へ歩み寄る。
『惨いことを…することになる。王よ、手伝って貰おう。他のものは部屋を出るように。』
「ふむ……わかりました。と、いうことですので、皆さんご退室願えますか?」
皆がしぶしぶ部屋を出る。
後で「王」について言及されることになるのだろう。頭が痛い。
「それで?一体どういうことですか。魂と器の拒絶とは。貴方の言う惨いこと、とは?」
『その前に言うべき事がある。皇帝、そしてお主と共に来たものの魂は既に取り戻してある。残る魂は五つ。』
私…ガイ、アニス……ローレライ。
残り一つは?
『お前がルーク様の記憶を取り去ったのち、多くの年月が流れた。
そして私は聖獣に至り、世界が崩壊の時を迎えているのを知る。
その原因は世界を去った魂からくるもの。そして、オリジナルとレプリカの魂の融合からくるもの。
私は融合した魂、その全てを分離した。ルーク様も…また然り。
だがその時、ルーク様の魂は消え失せてしまった。探せど見つからず、私はこの世界へ来ることを先じた。
そして今やっと見つけることが出来た。お前の中に。』
「私の……中に?」
ルークが、ずっと……
『求めたのだろう。お前を。』
私と同じように…ルークも……
『ルーク様の体に宿る魂は本来ルーク様が宿るべきであった魂ではない。
その相異が起きたのは体が本来あるべき形を取らなかった故であろう。』
「…………。」
『惨いことをすることになる。』
魂を入れ替えるということか。
それはつまり今のルークを心を、殺すこと。
何故いつも欲しいものを求めると、悲劇を生むのか。
『悲しみの業はいずれ終わるものだ……』
まるで私の思考を汲み取ったかのように聖獣が呟いた。


文才が…ほすぃ( ゚Д゚)

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深遠

狂おしいほどに貴方を求める
それ故に
貴方を認めることが出来なくなった
もう、どうでもいい
何もかも が
深遠が迫り、私はそれに合えて捉まることを望んだ


「なぁ、ジェイド……。」
「なんです?」
バチカルへ向かう船の中、ルークは歩き回りもせず、私の傍にいる。
冷たく言い放つ言葉に、紡ぐべき言葉を飲み込んだかのようにルークは口を閉ざした。
「言いたいことがあるのならはっきり言ってはどうです?」
「……お前、コーラル城に行ってから…………」
「行ってから?」
言いたい事は理解している。
私の態度の急変が気に食わないのだろう。
だが、気付いてしまったから。
どんなに望もうと私の想うルークは、あの瞬間のルークは手に入らないのだと。
ならばこの記憶だけを抱いて、私は暗闇に生きていくしかないではないか。
「俺…なんか怒らせるようなこと…したか……?」
あぁ、今にも泣きそうな顔して。
悲しみが全体から伝わってくる。
「怒られるようなことをした記憶があるのですか?」
考えるように上を向いてからぼそりと呟いた。
「……ねぇけど。」
「ならば問題はないでしょう。」
話を打ち切るようにそう言って、私は目線を海へと戻す。
ルークは地面に座り込みながらも、傍を離れようとしない。
ヴァンの元へでも行けばいいものを。
「……俺さ、予知夢っていうのかな?昔よく見たんだけどここ数日見なくなったんだよ。」
彼はルークには成り得ない。私のルークは還って来ない。
それならば私は、このルークの記憶のみを抱いて生きていくしかないではないか。
だから私は、記憶を彼には決して渡しはしない。
むしろ今までに流した記憶を、奪いたいぐらいだ。
しかし、今それをすれば大変な事態になることは容易に想像出来た。
「いっつも夢が終わる瞬間、目の赤い男がチラッと見えてさ。お前にそっくり……つうか、お前だった。」
少し、驚きを覚える。
「その後いつもよくわからない思いが湧き出てくるっていうか……
声が聞こえるんだよ。いや、俺の声なんだけど、俺じゃないっていうか……
なんて説明したらいいのかよくわかんねぇんだけど
『俺に気付いて』って……ほんとにわけわかんねぇだろ?」
哀しげに笑いながら私の顔を見上げる。
ルークであるが、ルークではない者の声……?
『気付いて』……?
「その声聞くとさー無性に胸が苦しくなるって言うか、切なくなるって言うか……
あー!俺なに言ってんだろ!なんでもねぇ!」
ルークは頭をがしがしと掻き毟るとスクッと立ち上がった。
その時、広がる海に陸地が現れた。

ルークのアクゼリュス行きが決まる。
ヴァンの元へ面会に行ったルークが浮かない顔をして戻ってきた。
「どうしたルーク、元気ないじゃないか。」
「あ?あぁ、なんでもねぇ。」
俺が、軟禁されてた理由。
俺が記憶喪失になった原因。
英雄になること。
「俺、準備あるしちょっと部屋に戻るわー。」
「早くしろよ、出発はすぐだからな。」
「あぁ。」
部屋に戻ったルークはバフッとベッドへ倒れこんだ。
「俺が英雄かー……。」
考えたことなかったな。
ヴァン師匠は強くてかっこいいし、ああなりたいって思ってた。
師匠が言う通りアクゼリュスを救ったら俺はまた軟禁されるのかな。
でもジェイドぐらい強くなれば捕まったりしないだろうし、軟禁もされなくなるんじゃないかな。
「あー……。」
ジェイド……俺本当になんかしたかな……。
師匠は俺に剣術を教えてくれた。
俺の話真剣に聞いてくれた。
でも旅をして、現実をしたって言うか、なんなんだろうな。
ジェイドは俺の話聞いて、大切なこと沢山教えてくれた。
それに、全力で護ってくれるって……
俺、ジェイドのその言葉が嬉しくて……
「……うあー!!思考が女みてぇになってねぇか俺!?」
こんなこと考えちまうなんて薬しばらく飲んでなかったせいだ!
ぱっぱと準備済ませて皆んとこ行く!
ルークは戻ってきたら読もうと思っていた本と薬を持ち、部屋を勢いよく飛び出した。

気になることがいっぱいある
考えなくちゃいけないこともいっぱいある
でもそれよりなにより
ジェイドが急に冷たくなったことが
気になる
なぁ なんでだよ


お前に認めて欲しい そう思うのはなんでだろう


あぁぁ……J→LからL→JになってるΣ(゚Д゚;三;゚д゚)!?
何故この手はいつも考えていた内容を打ち込んでくれないんだ| `Д´|ノ
しかもコーラル城やっぱり飛ばしちまったよっ!この後アクゼリュスまでぶっ飛びますよー!
しばらくルーク視点に切り替わりますことをご報告しておきます。

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ざわめく


魂が、ざわめく

何かが壊れるような予感

考えを放棄すれば いい

けれどこの頭は勝手に分析を開始する

とめどなく、知識の波に溺れるように

いっそはやく結論に至ってしまえばいい

そしてそのままこの波に攫われ死してしまえたら



記憶の共有は出来ない。
たとえ同じ場所に、同じ時を過ごせど視点、感情はそれぞれ異なる。
そして私が保持しているルークの記憶もまた、蓄積された記憶という名の物体を分離し、保護し、
ルークへと返還しているだけであって、
私がルークの記憶を垣間見ることが出来はしてもルークの記憶をそっくり私が見ているわけではない。
ルークへと返還した記憶はもう私の手元にはない。
以前の記憶を持つガイは、それでも以前のガイではない。
アニスも、ピオニーもまた……


人とは?感情とは、性格とは人格とは……

何故、気付いてしまったのか

何故、夢を見続けることが出来ないのか

貴方に逢いたい

ただ、逢いたいだけだというのに

こんなにも近くにいて、こんなにも遠い

ただ素直に笑うルーク

私に懐き、話に耳を傾けるルーク

少しずつ進む背中

紡ぐ物語は 貴方を幸せに導き

私を不幸へと陥れる


そう、か。
力とはこんなにも無力だったのか。
知識とはこんなにも無力だったのか。
ルークの記憶を手に入れたこの力。
そしてルークが帰ってこないことを導き出してしまう知識。
以前の記憶を持ちはしても、いや、持っているからこそ彼等は彼等では無くなってしまっている。
それはとても小さな違和感ではあるが。
何もせず、ただ流れに任せていればよかったのだろうか。
半端に手に入れた力故に、私は彼を違うものに変えてしまったのだろうか。


魂が、ざわめく

何かが壊れた音

至ってしまった 結論

けれどこの心はそれを拒絶する

とめどなく、感情の波に溺れるように

いっそはやく終わってしまえばいい

そしてそのままこの波に攫われ死してしまえたら


深遠に捉まった


今回はジェイドの独白と言うことで。
ちょっと自分の中でジェイドの心境を整理しないと続きが書けない事に気付きまして;
「歪んだ 心」のせいで物語が大変なことにヽ(゚Д゚;)ノ
こうなるはずじゃなかったのに!

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歪んだ心


あの日から、私は歪み狂った
貴方に再会した今でも
狂人のまま
自嘲する
つくづく、歪んでいると
貴方を手に入れる為に歪んだ心が、元に戻る日はくるのだろうか。


アリエッタと会うことはなかった。母の言い付けを守ったのだろう。
カイツールでアニスと合流し、今後の話を済ませる。
「そういえば一つ気になったことがあるんだが。」
話の終わりにガイが思い出したように切り出した。
「アニス、お前さん今回もスパイなのか?」
今回、との言い方が言い得て妙か。
「それは乙女のひ・み・つ☆」
「おいおい、そりゃ暗にスパイだって言ってるようなものじゃないか。」
確かにアニスはスパイを続けている。
「スパイで居てもらったほうがいいでしょう。
ある程度、前回をなぞって行動したほうがいい、との話は付いている筈です。
その為にはモースにも前回通り動いていただかないといけませんからねぇ。」
「ていうかーこうなったのがモースにスパイしろって言われてる最中でぇ。
アニスちゃんとしてはスパイなんてもうこりごりなんですけどぉー。」
「ですが導師イオンにまたお会いすることが出来た。スパイになれてよかったー、と思うべきなのでは?」
実際、こうなったからにはアニスは導師イオンを救うことに全力になるだろう。
望まぬ現実を、望むべくものに変えるために。
「ま、二重スパイとしてアニスの活躍に期待ってとこだな。」
「まっかしといて!アニスちゃん大活躍しちゃうから!」
「話の区切りがついたところで、軍港に向かいましょう。
アリエッタが軍港を襲っていなかった場合はヴァンを適当に言いくるめてコーラル城へ。
アッシュは確実にいるでしょうから。」
「ん、だな。」

ルークも早く先に進みたがっていた為、宿には泊まらずそのままカイツール軍港に向かうことになった。
ついてみればアリエッタが今だ葛藤を顔に刻みつつ目の前に現れ、前回と同様に事が進む。
コーラル城に向かう途中、無理が祟ったのだろう、イオン様が具合を悪くしそこで野宿をすることになった。
見張りをしつつルークが寝るのを待つが、一向に寝る気配が無い。
そっと傍に近寄り腰を下ろす。
「眠れませんか。」
優しく話しかけたつもりが、ルークはビクッと肩を寄せてから、寝返りを打ちこちらを向く。
「びっくりさせんなっ……。」
気配無く近寄ったつもりはなかったが、
まだ武術に長けていないルークは気配を敏感に感じ取ることが出来ないのだろう。
「すいませんね、驚かせるつもりはなかったんですが。
……それで、眠れない理由があるのでしょう?何を思い悩んでいるのか聞かせてはもらえませんか?」
小さく、唸る。
「……笑うなよ?」
話をするには行儀悪く寝転がったまま目だけを合わせてくる。
「真剣に話をしようとする人を笑うような悪癖は持ち合わせていませんから。」
やれやれとオーバーに肩を竦めて見せる。
すると、ルークは左手を空に掲げ、握ったり開いたりを繰り返す。
「……感触が…消えないんだ。」
どんな、と聞くまでもなく、人を切った感触だと推測できる。
無言で居るとルークは尚も続けた。
「やるって言ったからには、やる。
それが平和に繋がるってんなら斬る。だけど、前も言ったけど考えちゃうんだ。」
悲しげに左手を見つめてから、その手を下ろした。
「死んでいった奴にあった筈の未来とか、そいつの家族とか……ジェイド言ったよな?
全部背負って頑張ればいいって。」
「おや、そんな風に解釈されていたとは困りましたね。」
「へ?」
眉を寄せ、腕を組めばきょとんとした顔のルークが上体を起こし首を傾げる。
「私は背負え、なんて言ったつもりは微塵もありませんよ。
いいえ、むしろ貴方にそんな苦しみは一つたりとも背負ってなんか欲しくありませんね。」
きっぱりとそう言えば、さらに不思議そうな顔をされる。
「私は奪ってしまった命を胸に、今を生きている人々の未来をつくっていけばいいと、そう言った筈です。
奪った命の責任を取れなんて言っている訳ではありませんし、ましてや重責を感じて猛進されても困ります。」
「え?だってそういう意味じゃねぇの?」
そんな風に受け取られていたとは思いもしなかった。
彼が思い悩んだ結果、全ての責任を負おうとした結果を私は知っているというのに。
浅はかな発言だったか、ルークの思慮が足りないのか。
いや、思慮が足りなかったのは私か。
ルークはまだ7歳だと言うのに、言葉の意味を正しく汲み取ることが出来るはずも無い。
ふっと苦笑いを洩らすとルークは頬を膨らました。
「なんだよ、俺が馬鹿だって言いたいのかよ?」
「いいえ、自分に呆れていただけです。いいですか、ルーク?」
しっかりと顔をあわせ、目を見つめる。
返すようにルークも私の目を見つめたが直ぐに俯かれた。
「な、なんだよ。」
「貴方は今日食べたレタスの一生を背負いますか?」
途端に「はぁ?」と返された。
「だって草じゃん。」
「おや、草だって生きていますよ?それでは……昨日食べた豚の一生を背負いますか?」
「うっ……。」
レタスでは通じず、豚で通じるのもどうかと思うが、あえてそこは言及しないことにする。
「豚に至っては殺すどころか食べてしまっているんですよ?」
眉を寄せ、うぅ~んと唸る。
「貴方の命を頂いて糧にします、ありがとう。と感謝はしても、一生を背負って生きます。
とは思わないでしょう。」
「そりゃそうだけど……豚と人を同じにするか普通?」
「同じです。言葉を発するか発しないかの違いだけです。
豚だって死ぬ間際に悲鳴を上げます、死にたくないと思うでしょう。」
私達は日々命を奪うことで生きている。
「命に大きいも小さいもありません。
もしかしたらここに生えている木だって以前は人であったかもしれません。
いつか貴方が豚になる日だって…くるかもしれませんよ?」
「それ、知ってる!輪廻って言うんだろ?
ラムダスに勧められた本で読んだな。生まれ変わって、また会えるって。」
『生まれ変わって、また会える』
その言葉に、ふとあの日の事を思い出してしまった。
ルークが消えた日、雪に包まれたケテルブルク。
そう、あの時ルークが歌った歌を、私のこの想いを気付かせたあの歌を。
「そっか、そうだよな。みんな生きててみんな同じなんだよな。だから……ジェイド?」
意識せずとも俯いてしまったのだろう、顔を覗き込まれてしまった。
「どうした……?なんか苦しそうだけど……。」
今、ルークは目の前に居るのだというのに。
彼がルークのはずだというのに。
「いえ、なんでもありません。とにかく私が言いたかったのは、
奪ってしまった命を平和の糧に、感謝をしつつ前に進めばいいのだということです。」
「あぁ、わかったよ。」
頷いてルークは体を横たえる。
私は静かに「おやすみなさい」と呟き傍を離れた。


貴方を手に入れたい。もう苦しい思いはしたくない。
実際貴方は私の直ぐ傍にいるというのに。
何故、こうも苦しいのか。
胸騒ぎが収まらないのか。


ざわめく 魂


ジェイドが何か、感じてますね。
確実にルークであるはずなのにルークではないと。
私の愛したルークは儚く散っていってしまったあのルークなのだと。
至らせようと、そうさえすればいいはずだと思っていたのに、既に違和感がある。
ジェイドって完璧を求める人だから、ちょっとした相違で今のルークに拒絶を感じてしまいはじめてるのかも。
まぁ、こんな感じに書くつもり微塵もなかったんですけどねっ!
これ…ジェイルクのはずなのに……展開によっちゃ悲恋で終わっちゃいますよね。
でも大丈夫。ちゃんと考えてある。多分、きっと、おそらく。

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プロフィール

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理人
性別:
非公開
職業:
在宅でPCで何かする人。
趣味:
読書(SS含む)
自己紹介:
完結済みを一気読み(見)するのが好きなため、オワコンに嵌る率が高い。
三大欲求の頂点が睡眠欲。春夏秋冬眠。
仕事が立て込むと音信不通。仕事するか寝るかしかしなくなる。
たまに食う。

 

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