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TALES OF THE ABYSS ―目次―

*長編として始めたくせに途中でダレて、内容がしょっぱくなり、
 かつ、多分続きを書かないであろう(数年放置)作品なので、
 
 続きが気になっちゃうタイプの人は読まないことをオススメします。



逆行前

ケテルブルクに また雪が降る  崩落編の一幕

狂い咲き 崩落編の一幕

哀しい、という感情を知る  最終決戦早朝

逆行序章

  ローレライ解放から二年、物語のはじまり

希望を抱いて待つことすら タタル渓谷、帰ってきた『ルーク』

その瞬間私は確かに  読み辛い上にかなり壊れているので注意

ならばこの世界に何の意味が  ついに人じゃなくなりました。微グロ注意

得るものが一つとして  完全に人じゃなくなりました。大佐よ何処へ行く

そして私は  やっと序章完結

逆行章間

それぞれの 三十路編  還ってくる人々パート1

それぞれの 3Gとデビっ子  還ってくる人々パート2

逆行一章

  ゲーム始まりから外殻大地編まで

今度こそ、貴方と  新たな物語の始まり。

私の心はこんなにも  読み飛ばしても問題のない話。

たとえ傲慢と言われようと  拾ってくるんじゃありません!

貴方を至らせる為に 1 2  連載ものを前後編に分ける暴挙。

それが、理由。  水遊びすら、貴方は知らない。

歪んだ心 ご飯を食べる時にはちゃんといただきますを言いましょう。

ざわめく ジェイドの独白。むしろ管理人の感情整理。

深遠 ジェイドとルークの想いが逆転します。

お前に認めて欲しい 1 2 語り部変わりすぎ。しかもまた前後編に分けた。

ありがとう 私にしては激甘仕様。危うくR-18に持って行きそうになtt

逆行二章

優しい日差しに 優しい時間のはじまり

もう二度と離さない 前半ギャグだったのに……

いつになるだろう 俺の普段着がぁあああああああ

拍手

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ありがとう

ありがとう ありがとう
酷いことしたのに 笑顔でいてくれてありがとう
俺の考えた名前 受け取ってくれてありがとう
俺 頑張るから、お前みてるはずだもんな
だから ありがとう


「ん…んぅ……。」
目覚めれば自室で、誰もいなかった。
ミュウすら居ないわけ?
俺としては感動の再会が待ってるもんだと思ってたんだけど……。
背伸びをして、ベッドから降りようとした時ドアが開いた。
「ルー…ク…。」
驚いた顔のジェイドが手に持ってた何かを落とす。
パリンと音がしたからにはガラス系だったんだろうけど、なんだろう。
「ジェイド、ただいま。」
そう、言えば駆け寄ってきたジェイドに思いっきり抱きしめられて。
「ジェイド…痛いって。」
「少しの間我慢しなさい。」
って、命令かよ。苦笑いが漏れる。
俺の苦笑いが気に食わなかったのか、これ以上無いってくらい強く抱きしめられた。
「どれだけ…どれだけ私が貴方を……。」
「……分かってる、知ってる。」
俺もジェイドを抱きしめる。
二人とも無言のまま、どのくらいそうしてたんだろう。
ジェイドが腕を放した。
「ジェイドが泣いてんの見るの二回目だな。」
前と同じように涙を拭う。
されるがままなジェイドが可愛いって感じて、ちょっと照れくさかった。
「貴方ぐらいですよ、私を泣かせるのは。」
「はははっ、てことは俺最強だな。」
「全く……その通りで困ります。」
やばい、どうしよう。
俺、今すっげぇ幸せなんだけど。
ありがとう、ジェイド。
ありがとう、アリア……

アリアの伝言伝えなくちゃな。
「ジェイドに伝言。優しくしてくれて、ありがとうってさ。」
ジェイドが「は?」と返して来る。
「俺だった…あいつから。
ほんとはガイにも伝えて欲しいって言ってたけど、全部終わってからって約束だからなぁ……」
ありがとうなどと、言ってもらう資格はないというのに。
私の傲慢で、彼の人生を急に終わらせてしまったというのに。
「多分本当に、心からそう思ってたんだと思う。だって嬉しそうに笑ってたもんな。」
「そう…ですか……。」
ジェイドが沈む。
「俺さ!あいつの名付け親になったんだ!名前くれっていうから、アリアっ…て……。」
今さら、涙が込み上げてくる。
ジェイドが、優しく抱きしめてくれた。
「アリア…いい名前だと思いますよ。」
彼はまるで歌うように笑った。
ルークであると思い込んでいたことを差し引いても、私は彼を好いていた。
今さら気付く。私も毎回の事ながら気付くのが遅くて困る。
「おれ、あいつに悪いことしたなぁ……。でも、ごめんて言ったら怒られた。」
「貴方の悪い癖ですね、すぐに謝るのは。」
「あははっ、やめた方がいいって言われたな。」
悲しそうに、けれども笑顔でルークは笑う。
無言が続いた。

不意にジェイドが「あぁ。」なんて間の抜けた声をだした。
「忘れていました、明日魔界へ向かいます。」
「んん?ってーっと……。」
「シュレーの丘のパッセージリングを操作しに行くんですよ。」
え?
「俺…どんぐらい寝てた…?」
「一ヶ月ほど。」
「でぇぇえええ!?」
「本当に心配しましたよ。このまま目覚めないんじゃないか、と。」
「ご…ごめん……。」
また、謝っちまったけど、この場合はこれでいんだよな?
ジェイドがふぅって溜息をつく。
だめだ、言いたいこといっぱいあったはずなのに、言葉が出てこない。
それはきっとジェイドも一緒で、二人とも無言のままベッドに座っていた。

だけど考えてみれば俺、ジェイドに好きって言ってないんだよな?
そっか、そうなんだよな。
うん、言うか。
「なぁジェイド。」
俺の隣に腰掛けたジェイドの顔を見る。
「なんですか?」
「俺、お前のことが好きだ。あぃ…愛してるって意味で好きだ!」
途中からすごく恥ずかしくなって、声を張り上げた。
「っ……。」
ジェイドが鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔してる。
すっげー貴重なもん見たって思ったらいきなり押し倒されて、またギューって抱きしめられた。
「……私を殺す気ですか?」
「はぁ?なんでだよっ!」
なんかすっごい恥ずかしくて、ぶっきらぼうになる。
「心臓が止まるかと思いました。」
ジェイドがガバッと起き上がり、真剣な顔をした。
「私も、貴方を愛しています。心の底から、貴方だけを求め続けた……。」
「う…うん……。」
自分でも顔が真っ赤になってるのがわかる。わかるんだけど目を離せなくて。
「しかし、そそりますね。」
マジメな顔してたと思ったら急に妖しく眼を細める。
「なっ!何が!?」
「いいから、黙って……。」
降りてくる顔に、ぎゅっと目をつむる。
柔らかく、触れるだけのキス。
「そんなに強く唇を結ばれると、舌が入れられません。」
「ばっ!おまっ…んっ…ふぅ……」
なに言ってんだよ!って言おうとしたのに、ふさがれた唇。
貪るように溶かす様にうごめく舌。
「んぅ……うっ…ふぁっ」
息が出来ずにジェイドの背中をバシバシ叩くとやっと唇が離れた。
「いきなりなにすんだっつうの!」
「おや、お子様には刺激が強すぎましたか?」
「ばっ!子供じゃねーって!」
そういうと、急にジェイドが声を上げて笑い出した。
なんか、今日は珍しいもんいっぱい見てる気がする。
「笑ってんじゃぬぇ!」
「くくっ、いえ、なんでか…ルークがここにいるんだと思ったら……。」
「なんで俺がいると笑うんだっつうの……。」
ゆっくりと起き上がる。くそっまだ笑ってやがる。
「ふぅ……ともかく、お帰りなさいルーク。」
「あ…あぁ、ただいま。」

ありがとう
幸せな時間をくれて
ありがとう
そばにいてくれて
言い尽くせない程の想いを果す為に
俺 精一杯生き抜いてみせるよ


優しい日差しに包まれながら 誓った


あっま…あっっっっっま………
書いてて途中で何度も手が止まりました。
砂糖吐きかけて。
これにて一幕が終了となります。
ここまでお付き合いくださった方に最大級の感謝を。

拍手

いつになるだろう

時を計る。
貴方の全てを奪うその時を。
言葉だけでは足らない。
心だけでは埋まらない。
けれど、貴方の中にはまだ、獣はいない。
いつになるだろう、貴方がこの獣を飼う日は。


あの後、ただ、俺を抱きしめるだけだったジェイド。
俺の首筋に顔をうずめて、ただ、ゆっくりと息を吐き、息を継ぎ……
俺の呼吸をジェイドに合わせるとなんだか背中に響いていた胸の鼓動にまで、俺の鼓動が併さって。
まるで溶けてしまうんじゃないかって思った。
溶けて混ざって一つになる。
俺の心に浮かんだのは、ただただ、幸せだって想いだけだった。
ジェイドも同じだったら、俺たちは一つになってたってことになるのかな?
いつの間にか寝ちまったらしくて、ふと目を覚ましたらきちんと布団に入れられてた。
横でミュウが寝てるだけで、ジェイドの姿が無くて、少し……寂しかった。
それでも直ぐにうとうとして、寝付いちまったみたいだけど。

朝いつものように俺を起こしに来たメイドが、「自信作ですよ!」って嬉しそうに言いながら仕立て直した服をベットに置いた。
「普段着の他に3着も仕立て直したのでメイド総掛かりでした!」
大変だったはずなのに、凄く楽しそうだ。
徹夜だったのかな、ちょっと目が赤かった。
「ありがとうな。皆にも感謝してるって伝えてくれるか?」
「もちろん!ルーク様からのお礼のお言葉、しっかり皆に伝えます!みんな喜びますよ!」
「そうかな……?」
「そうですよ!皆ルーク様が大好きなんですから。それでは私はこれで失礼しますね。」
「あぁ、本当にありがとう。」
もう一度重ねて言うと、にっこりと笑ってから頭を下げて部屋を出て行った。
丁度入れ替わるようにノックがして、返事をするとジェイドだった。
今から着替える旨を伝えると、ジェイドは外で待つとか言い出した。
別に見られて困るようなもんでもないんだけど、それでも待つって言うから気にせず着替えることにした。
じっくり、あいつ等ががんばって仕立て直してくれた服を見ながら着替える。
アンダーは伸縮性のある物に変えたらしい。ぴったり体にフィットして、動きやすそうだ。
上着は裾が膝ちょい上まで短くなってる。
「んー?肩が少し余ってっか?まぁでもこれぐらいならいいか。そんでズボンは……」
手にとって広げたズボンは……
「…………こんなん穿けっかぁー!!!」
思わず地面に叩き付けたズボンはあのダボッとした部分が完全に無くなって、無残にも短パンになっちまってる。
「ご主人様!きっと似合うですの!」
ミュウが丁寧にズボンをはたいて、俺に渡そうとする。
「似合って堪るかっつーの!」
ぜってぇジェイドだ、あいつがメイドに言ったに決ってる……
「ルーク、集合時間が迫っています。着替えは終わりましたか?」
部屋の中に届くように少し大きめな、済ました声が聞こえてきて俺の拳はワナワナと震えた。
きっと、扉の前でニヤニヤと嫌な笑いを浮かべてやがるんだ……
「くっそぉー!」
俺は覚悟を決めて、ズボンを、その後に靴を履いて勢いよく扉を開けた。
「てめぇ!ジェイド!!こん……」
文句を浴びせてやろうと思ったのに、こうなるように仕組んだ本人が呆気に取られた顔をしていて、その間抜けな面を見てたら言葉が出なくなった。
「ルーク……なんですかその格好……。」
「その格好って、お前がメイド達にこうするように言ったんじゃねぇのかよ?」
ドアを閉めて、自分の足を見る。
普段、ズボンを穿いているから日の光を浴びることが無かった上に、一ヶ月も寝込んでいたのもあって、足は生っ白く、筋肉が全然ついてない。
「まさか、そんな(勿体無い)こと私がする訳が……。」
ジェイドの言葉を遮って、ガイが俺を呼ぶ声がした。
「ルーク!おおおぉぉ!やっぱり似合うなルーク!!」
駆け寄って来たガイが俺の肩にポンと手を置きながらも、じっくり足元を見つめてくる。
やっぱりって……
「おーまーえーかぁー!」
言うと同時に振り上げた拳を、あっさり受け止めながら、なおもまじまじと足元を見てくる。
「不満か?」
「不満に決ってんだろが!」
ズボンも不満だし、殴ろうとしたのをあっさり止められたのも不満だし、お前のきょとんとした顔も不満だぁー!
「いいと思うんだがなぁ。」
「何がいいんだ!何が!」
「何って……そのほうが動きやすいだろ?俺は前からお前にあのズボンはやめた方がいいって言おうと思ってたんだよ。ああいう生地の多い服は風を受けるから俊敏に動けなくなるだろ?その点、それだったら布がすれることも無いし、風の抵抗も受けないし。お前言ってただろ、俺みたいに素早く動けるようになりたいってさ。」
「たしかに…言ったけど……。」
「本当は俺みたいにタイツ穿くのが一番いいんだ。でもお前はそれ嫌がりそうだしなぁ。ジェイドの旦那はズボンなんでしたっけ?」
ジェイドが無言で頷く。
「でもズボンの上からブーツを履いてるだろ?コートだって膝より上だから動くに邪魔じゃないし、戦闘に向いたデザインだぜ?」
「だったら、俺のズボンだって少し布を詰めればいいだけじゃねぇか!なんでこんながっつり短く……」
「それはそのズボンを仕立てた子達に聞いてくれよ。ルークの服を機能的に仕立て直すんだーって意気込んでた彼女達がどういうデザインがいいかって聞いてきたから俺は戦闘に適した服はどういう服かって教えただけだしなぁ……。」
「むぐぅ……」
徹夜してまでがんばってくれたメイド達が、そんなことまで考えて作ってくれていたかと思うと、文句も言えなくなる。
「ですが、この短さはどうかと思いますねぇ。服には肌を保護する役割もあるのですから……。」
「あぁ、そうだろうと思ってな!今のお前だったら足のサイズもナタリアと同じくらいかと思って予備のブーツ貰ってきたんだ、ほら!」
ガイが左手に抱えていた箱を開ける。
中には確かにいつもナタリアが履いているブーツが入っていた。
俺はそれを受け取って履いてみる。ブーツ自体履くのが初めてで四苦八苦したけど、サイズはぴったりだった。
「うーん、まぁこれでいいか……。」
「うん、見た目的にもいい感じじゃないか!おっと、そろそろ時間だな、それじゃあ行くとするか。」
俺は頷いて中庭から右に抜ける。母上に出発の挨拶をする為だ。
父上も母上もこっちに来てたって聞いたときはびっくりしたけど、俺を俺として受け入れてくれたから凄く嬉しかったな。
俺が挨拶をしている間、二人は玄関で待ってるってことで、一旦別れた。

「ルークは誤魔化せても、私は誤魔化せませんよ。」
剣呑な空気の中、玄関から出た途端、大佐が呟いた。
うっ……まぁ、大佐が気付かないわけ無いとは思っていたが……
「どんなデザインになるか知らなかったはずなのになんでブーツを用意出来たんでしょうねぇ。」
「ははははは……」
言葉で返そうとしても、旦那に勝てるわけも無い。
俺の口から出たのは空笑いだけだった。
「説明は手馴れたものでしたねぇ、毎回説明役を担っていたおかげでしょうか。」
「ははは……」
さっきより少し低くなる声になんだか冷や汗が出てくる。
「女性恐怖症の割りにしっかりとした説明をした辺り、そんなに短パンにしたかったんですか?」
「はは……」
なんていうか、見えるはずはないんだが、黒いオーラが立ち込めているのが見える気がする。
「そういえば、右手の具合はどうですか?」
いきなりそんな話の振り方をしないでくれ……妙に寒気がする……
丁度その時、天の助けかルークが現れた。
「意外と早かったですね。もっとゆっくり話しててもよかったのですが。」
「そうもいってらんねーだろ、出発の時間が近いし、それに母上がなんっつーか……」
二人が歩き始める。いつもなら直ぐにでもルークの隣に行きたいところだが……
「俺の格好みて、女の子みたいだーとか言い出してさぁ~。娘が欲しかったから嬉しいとか、女の子になればいいとか、困っちまって。」
(今は駄目だ……今ルークに近づいたら確実に俺の命はないっ……)
「別にいいと思いますよ、女になるのも。両方を経験することが出来るのはルークだけですよ?」
「いやだっつーの!」
はぁ……ルークぅ…………。
いや、しかし……歩くたびに上着の裾が捲れ、ちらりと短パンとブーツ間に白い足が見える。
これは……いい。すごくいいぞルーク!

空しさと男の性に揺られながら、ガイは二人の後ろをついて歩くのだった。


ルーク、俺だってお前を求め続けたんだ。
俺だって、俺なりに探し続けたんだ。
わかってる、これが負け戦だってことは重々承知してるさ。
だけど……
ルーク

男がジェイドの旦那だけだと思うなよ。


〆がガイですが、これはジェイルクです。
そして、ガイ入る隙間はないです。
泥沼三角は期待しないで下さい。
ごめんね、ガイ(゚∀゚)
久々のうpだー

拍手

もう二度と離さない。


そう、誓おう。
貴方を二度と離しはしない。
深遠の世界に、やっと手に入れた焔。
この心の奥底に、やっと灯った柔らかな光。
だから

覚悟してください


「と、なると色々準備しなければならないことが出てきますね」
俺もついていくと言うことで話がまとまった。
「そうだな。ルークの……」
「ガイ、ナタリアは王宮に戻りました。ティアは宿屋でしょう」
言われてガイが眉を顰める。
「知ってるが……」
「指の関節が外れたのでしょう?治すなら早いほうがいいと思いますよ」
「……大佐のせいだろうが……」
「剣が握れなくなりたいのでしたらそのままでもいいと思いますが」
「……くっ……。
ルーク、俺ちょっと外に出るから、く れ ぐ れ も気をつけるんだぞ!」
ボソボソと二人で喋っていたかと思えば急に気を付けろって言われても。
なんに?
「そうですね、転んで怪我でもしたら大変です。きちんと私がエスコートしますからね、ルーク♪」
あぁそういうことか。
「大丈夫だって。ほんとガイは心配性だなぁ」
「そういうことじゃないんだけどな……」
「じゃあどういう事だ?」
(あぁ、そんな首を傾げながら上目遣いで覗き込まないでくれっ!抱きしめたくなる!)
「……ガイ」
「そ、それじゃあ後でなルーク。本当に気をつけるんだぞっ!」
なんだか悔しそうに走り去るガイを見送っていると、ジェイドがぽつりと呟いた。
「憐れですねぇ。もう勝負がついている事を知らないのですから……」
クツクツと笑うジェイドがなんか怖かったけど触れないで置こう……。
「でも、準備ったって何かすることあったっけ?」
「本当にありませんか?ルークは後々戦闘に参加するつもりなのでしょう?」
「……さすがジェイド。俺が考えてることなんてお見通しなんだな」
戦闘参加は在り得ないって感じで話を進められてたから、後でこっそり装備を整えようって思って
たのに……。
「当たり前です。伊達に長生きはしていません。7歳のお子様の考えなんて取るに足りませんよ」
「7歳じゃねぇっつうの!ん?そういや俺何歳なんだ?……えっと……8歳か?……いや、んっと……こっちに来てからの……」
「考えても仕方のないことを考えるのはお止しなさい。回帰した後の年数も加算すれば私は50を超えて
しまいます」
「ぶっは!50!?ジジイじゃん!!」
大声を上げて笑ったら、いきなり顎を掴まれた。
「ルーク、今ここでその口を塞いであげても私は一向に構いませんが?」
な、何をするっつうんだ……。何をされるにしても回避したほうが良さそうな、ジェイドの薄ら笑いに俺は涙目になりそうだ。
「すいません、ごめんなさい、謝りますから勘弁してください」
「よろしい」
満足げに手を放す。ここで謝らなかったら何されてたんだろう……。
「もちろん口付けですよ」
な!ななな!心を読んだ!?つうかくっ……口付けって!!!
「動揺してますねぇ。」
まるで悪役みたいにクックックと笑う。
「……お前…まさか心よ……」
「読めませんよ。いえ、読んだと言えるでしょうね。ルークは単純だから思考の予測が立ちやすい」
今、馬鹿にされたよな……
はぁ、結局どうやったってこいつに勝てるわけはないし、もう考えるのやめよう。

「装備品を買いに行くんじゃねぇのか?」
街に下りるんだとばっかり思ってたら、何故か部屋に戻された。
中では嬉しそうにメジャーを握り締めてるメイドが二人。
「先に着る服をどうにかしないといけないでしょう」
あぁ、そっか。薬を飲まなくなったせいで今までの服がぶかぶかだ。
素直に採寸されてたけど、ふと疑問が出来た。
「薬を飲んでいけば体格は戻るだろ?それならズボンだけしっかりベルト締めれば……」
「それまでブカブカの服で戦闘するつもりですか?動き辛いですよ」
それもそうだけど……
「でもそうなると、体格が戻ってきた時にキッツキツになっちまうだろー?」
「体格が元に戻るまでどれくらいの時間が必要か分かっているんですか?戻りきる前に全て型が
つくでしょう」
むー……
そうこうしてるうちに採寸が終わった。
「全て今のルークに見合うように詰めてください」
ジェイドが大きな袋をメイド達に渡す。
「なんだその袋?」
俺の問いかけにメイドが袋を開ける。
「あー!ベルセルクの称号貰った時の服だ!こっちはワイルドセイバー、げっ、ドラゴンバスター
まで……って、なんであるんだよ!?」
「なんででしょうねぇ?とにかく、明日の朝には間に合うようにお願いします」
俺の疑問をさらっとかわして、ジェイドがにっこりとメイド達に笑いかける。
「かしこまりました。ルーク様が着るんですもの、完璧に仕上げましょうね!」
「えぇ、もちろん!ルーク様、楽しみにお待ち下さいませね」
そう言って頭を下げ、出て行こうとしたメイド達にジェイドが声をかけて何か言っていた。
少し、驚いたような顔をしたけど、その後なんか嬉しそうに頷いて二人は改めて頭を下げると部屋を
出て行った。

「なぁ……」
「私がこちらに戻ってきた時に一緒に持って来たんですよ」
あぁ、そうなのか。ってそれも気になったけど、さっきメイド達に何言ったのか聞きたかったんだけど……。
「さっきメイ……」
「ルークが「これはずっと俺がつけるんだ!」と言って離さなかったトゥッティもありますよ」
「マジで!?」
うわー!マジでトゥッティだ!
「今からこれつけてたら……うわー!すげー!」
(……ちょろあまですねぇ。)
響律譜を見ていた俺には、ほくそ笑むジェイドが見えるわけもなく。
「なぁなぁジェイド!アレあるか!?」
「ありますよ」
微笑みながらジェイドが出したのは、自分の戦闘能力を数値化して見せてくれる音機関だ。
ちゃんと名前があるらしいけどアレで通ってるから、覚えてない。
「今俺のレベルがー……えっ!?いちぃ!?」
なんでだよ!だってアクゼリュスまでは俺…いや、アリアだけど戦闘に参加してたのに!
「一ヶ月も寝たきりでしたからね。いいじゃありませんか。レベル1からトゥッティをつけられれば……」
「早く強くなれるか!そうだよなっ!くぅ~ジェイド、ありがとうな!」
「いえいえ、どう致しまして」
「ん?そういえば今のジェイドってレベルいくつなんだ?封印術も掛からなかったし、その後皆で行動
してた時も戦闘参加してたんだろ?」
「えぇ、そうですが……」
「なぁなぁ、ちょっと見せてくれよ!」
音機関を渡すとジェイドはちょっと躊躇った。
「気を落としても知りませんよ?」
「大袈裟だなー、どうせあっても60くらいだろ?直ぐに追いついてやるって!」
溜息をつきながら、ジェイドが音機関を起動させる。
現れた画面を見ても、俺はその数値が理解出来なかった。
「…………壊れてる……わけじゃないよな?」
「壊れてはいないでしょうね。こちらに来た時からこうでしたから」
画面はどこを見ても0で埋め尽くされていた。
「なんだこれ……レベル000?HP0000?」
「音機関の限界なんでしょう。レベルは1.000以上、HPは10.000以上ってことなのでは?」

「…………ありえねぇー!!!!!」

俺の叫びが屋敷中に鳴り響いた。



「ずっり~……」
拗ねたルークに流石にお手上げ状態だった。
「ですから、言ったでしょう」
「そうだけどさー……」
自分のベットに座り込みながら、頬を膨らます。
「こうなると不便なことも多いんですよ?軍に居た頃なんてディストに音機関の細工をさせて、私が起動
した時には全て偽りの数値が出るようにしたり、日常生活でも気に掛けなければならないことが多いん
ですから……」
実際、私がちょっと力加減を間違えようなんて考えれば、初級譜術でもこの世界を破壊出来てしまい
かねない。
「そういえば、ジェイドはなんだっけ……オンジン?とか言うのになっちまったんだっけ」
「オリジンです。精霊王オリジン」
生りたいと思った訳では無い。が、生らざるを得なかった。
「精霊王なぁー……。なんっつーか、お前がちょちょいって動けば全部解決するんじゃねぇの?」
「ちょちょいと解決出来るなら、既にしていますよ。貴方も知っているでしょう?預言の絶大な力を」
その力を打ち破ることが出来るのは、ローレライと同存在であるルークとアッシュだけだ。
「そうだけど…なんか納得いかねーなぁ」
勢いよく、ベットにルークは倒れこむ。
「第七音素は他の音素とは異質な存在です。私はオリジンであってローレライではありません」
「だけど一度融合したんだろ?」
「確かにしましたがね。ですがお互いの力が反発しあって、制御が恐ろしく大変でした。あのままの
状態で居るのは不可能でしたね。維持しようとすれば、音素が反発し合い、音素力が暴発を起こした
でしょう。この世界が跡形もなく吹き飛ぶ程の……」
「げっ……お前そんなあぶなっかしいことしたのかよ……」
私はベットに腰掛け、寝転がっているルークの頬を撫でる。
「そうですね……それ程までに、貴方を求めましたから……」
その言葉に、ルークの口が音無く、「あっ」と型作る。
「ジェイド……。俺……」
ルークの両腕が伸び、私の肩から背にまわる。
ゆったりとした動作から、不意に力を込めて引き寄せられ、軽く唇が触れた。
(急に胸がキュってした。どうやったらジェイドにこの想いを全部伝えられるんだろう。
言葉が見つからなくて……だから……)
自分から起こした動作に、羞恥が湧き上がったのだろう。
ほんのりと、頬が赤く染まる。
それでも腕に込めた力を緩めない。
子供の面影が消える。
「な…なんだよ……」
唇が触れるか触れないかの距離、それでも私がふと、笑ってしまったのを感じ取ったのだろう。
不服そうに眉を寄せる。
「いえ、お子様にしては誘うのが上手いと思いまして」
「んなっ!」
途端に耳まで真っ赤にして、ルークは背に回していた腕を解き、私の肩を掴み顔を離そうとする。
その力に反発し、有無を言わさず唇を重ねる。
歯列をなぞり、舌を吸えば小さく甘い声が漏れる。
肩を掴んだ指先がフルフルと震える。
声も無く喘ぐ。
密やかに、耐える様がかえって欲情を誘うことをこの子供はまだ知らない。
香ることを知らぬ四肢、求めることを知らぬ舌。
まだだ、まだ早い。
手折るには、まだ。
己を乗っ取らんばかりの欲を諌め、唇を離す。
繋がった唾液に目が行ったのだろう。
子供の面影を取り戻し、焦ったように起き上がると口を拭う。
「やはり、まだまだお子様ですね」
茶化すように肩を竦めれば、いつものように否定の言葉を返す。
その姿にただ笑みを返せば余計に腹を立て、頬を膨らましながらそっぽを向く。
「求めたから……、貴方をこうして手に入れることが出来ました……」
背を向けたルークをそのまま抱きしめる。
「俺は物じゃねー……」
ぽつりと呟く。
今は見えないその顔はまだ怒っているのだろうか、それとも……


この腕に収まる小さな貴方を

私はこれからどうしていこうか

香ることを知らぬ青い蕾を

いつ手折ってしまおうか

今すぐに

いや、まだ早い

いつになるだろう、この獣を放つ日は


戦闘能力を測る音機関とか、かなりネタですよね。
レベルとか自分達で言っちゃってるのかなり阿呆ですよねーw

しっかし、前半すっごいギャグっぽかったのに……
なんで最後の最後でこんな雰囲気になっちゃったんだろう?
急激過ぎて、自分で驚いてみました。
え、でもどうしよう。
こんな雰囲気で終わっちゃったら次の話どうやってはじめればいいの……
うわ…本当にどうしよう……

拍手

優しい日差しに


初めて太陽の光がこんなにも優しく感じたのはいつだったっけ
屋敷に軟禁されてた時は四角い空に浮かぶ太陽が眩しすぎて
うぜぇなんて感じてたよな
今想うこの気持ち
きっと いや 絶対一生忘れない
優しい日差しが 俺を歩ませてくれるんだ


「んで、俺かるーくターロ・ウルアシヤなんだけど……。」
あの後ジェイドがみんなに俺が起きたって知らせに行って、みんなから一頻り揉みくちゃにされた。
そのみんな、にアッシュもいて拳骨で殴られたんだけど。
「なんでアッシュがここにいんの?つうかなんで俺家にいるわけ?だっておかしくねぇ?
俺とナタリアが死んだって今頃大慌てになってるはずだろ?それに……」
「一つ一つ答えて行きますから、そんなに慌てないでください。」
ジェイドに止められて頷く。
「まず、今我々の状況が『やり直し』であることを皆承知しています。」
「へ?」
「貴方が寝ている間に関わり合いのあった方々が数多くこちらに戻ってきましてね。」
「ティア、ナタリア、アッシュ。それにインゴベルト陛下とテオドーロ市長ってとこか。
まぁ、他にもまだまだ戻ってこられた方はいるが。」
ガイが指折り数える。
「ミュウがすっごい大変そうだったよねぇ。行ったりきたりで~。」
「まぁ、そのお陰で楽が出来ました。戦争も起こっていませんし、和平も近々結ばれる予定です。」
……なんかトントン調子?あれ?拍子?に進んでるんだな……。
「ですから、アッシュも我々に協力して下さっていますし、
貴方も家でゆっくりと寝こけて居られたわけです。」
嫌味ったらしい言い方は相変わらずで。
「降下作戦もアッシュに手伝ってもらっています。」
「ちっ……これから屑と一緒か……。」
お前も相変わらずだな……。
しかし……状況にただ一人ついていけなくてすっげぇ困ってるんだけど。
「でもさ、パッセージリングに行くとイオンとティアが……。」
「心配ありません。毒の中和は私が出来ますし、
扉を開くことが出来るのはイオン導師一人ではありませんしね。」
「へ?」
まぁ、ジェイドが中和出来るってのはなんとなくわかるけど……
その時、コンコンッとドアをノックする音がした。
扉を開けて入ってきたのはディストと……
「アニスー!!」
一目散にアニスに飛びついた……フローリアン……か?
「まったく、ここまで密かにつれてくるのは骨が折れましたよ。」
ディストが言葉とは裏腹に自慢げな様子を見せる。
「ご苦労様です。」
えっと……まってくれ……頭が……
「フローリアンみんな見てるからっ。」
恥ずかしそうに、困ったようにアニスが抱きつくフローリアンを宥める。
「あ、ごめんね。アニス?」
子犬みたいにシュンとするフローリアン。
「えっと……どういうことだ?」
「フローリアン導師もこちらへ戻ってきたってことよ。」
フローリアン導師……?
「前回の世界、と私たちは呼んでいますが、
そこでフローリアンは導師をアニスは元帥をなさっていたのですわ。」
あー…あぁ……。
「夫婦なんだよ!僕達!」
フローリアンがアニスを抱きしめつつイオンの方を見る。
イオンはにこやかに笑いながら「お似合いですよ。」なんて返した。
フローリアンにとってはイオンはライバルなんだな。
どうしたってアニスはイオンの面影を追っていただろうし……複雑な関係になんなきゃいいけどなぁ。
「まぁ、その話は置いておいて。
でだ、イオンとフローリアンが交互に扉を開いてくれれば、それぞれの負担も少ないだろ?」
「う…うん。」
「万全の態勢、ということです。」
「なんっつーか……。」
なんて言ったらいんだろう。
あんなに大変で、辛かった旅が……う~ん……?
俺の混乱をわかってか、ジェイドが言葉を継ぐ。
「これはやり直し、ですからね。
前もって起こることを知っているのですから、準備も整えられますし、万全は尽くして当然です。
変に悩まずにルークは己の出来ることをすればいいんです。」
「あぁ…そうだな……。考えたってしょうがないか。」
「そうそう、お馬鹿担当のルークが考えることじゃないって♪」
「お馬鹿担当ってなんだよ!アニス!」
きゃはは、と笑いながらアニスが小馬鹿にしたようにあっかんべーをする。
ムカつく~!
俺はアニスをとっ捕まえようと腕を伸ばしたけど、
するっと抜けて走り出し、おしりぺんぺんまでしやがった。
「てめぇー!このやろぉ!」
俺も走り出して、アニスを捕まえようとする。
「ルーク!病み上がりなのですから、走ってはっ!」
ジェイドの言葉が終わるのを待たずに、足がよろける。
倒れるっ!
そう思ったのに、衝撃はなく、俺はジェイドの腕にすっぽり収まってた。
「ルーク、一ヶ月も床に臥していたら体力が落ちていることぐらい容易に理解できるでしょう。」
溜息混じりのジェイド。それでも、優しく笑っている。
「ご…ごめん……。」
「アニスもアニスです。ルークは身体に変化を起こしているのは説明したでしょう。
記憶通りに動かそうとしても身体が付いていかないであろうことも。」
「ごめんなさい……。」
俺の時とは打って変わって、鳥肌が立つくらい怖い声を出したジェイドに、
アニスは体を硬くして謝った。
「だってぇ、なんか嬉しかったんですよぉ~。」
アニスの言葉に周りにいたみんなが頷く。
「そうね、ルークがここにいる。昔に戻ったみたいだもの。嬉しくなるのも仕方ないわ。」
「昔に戻ったみたい、ではなく、昔に戻ったのですわ。」
ふふっと笑ったナタリアに、「そうだったわね。」と言いながらティアも笑う。
みんなの笑顔が感慨深そうで、俺が消えてからどんな苦しみを味わったのか、思う。
「みんな、ご…ありがとな。」
ごめんと言おうとして止めた。
ごめんって言うくらいなら、ありがとうって言ったほうがいい。
それを俺に教えてくれたのはアリアだ。
「そんじゃ、ま。説明も終わったことだ、今日は一応解散ってことでいいだろ。」
アニスたちから不満の声が上がる。
「ルークは病み上がりなのです。
話したいことが沢山あるのは僕も同じですが、ゆっくり休ませて上げなくては。ね、皆さん。」
それぞれに、返事をし、俺にさよならを言って、みんなが屋敷を後にする。

残ったのは屋敷に住むガイと、俺の主治医をしていたらしいジェイドだ。
応接室でいつも父上が座る位置に俺、右にガイ、左にジェイドが座る形で、
紅茶を飲みながらゆっくりしてると、ジェイドがちょっと言い難そうにきり出した。
「ルーク、先ほど言い忘れましたが……。」
「うん?」
「ルークには屋敷に残って頂きます。」
「はぁ!?なんでだよ!」
一緒に行くものと思っていたからびっくりした。
思わず紅茶を噴き出したくらいだ。
「なんでもなにも、お前さんその体じゃ満足に出歩くことも出来ないだろ。」
その体ったって……
「たしかに薬飲んでなかったせいで体付きは変わっちまったけど!」
「そういう意味ではありません。さっきも言ったでしょう?
ずっと床に臥していたせいで今の貴方は筋力が殆どない状態なのです。
さっき転びかけたのだって走れると頭が記憶していたのに対し、
以前の記憶通りの筋力が備わっていなかった故に、体がついていかなかったせいです。」
ガイが無言で頷く。
「でも……だからって……」
「わかってくれ、ルーク。俺たちはお前が心配なんだよ。」
そっと、俺の手を握ろうと右手を伸ばしたガイ。
でもパシンッ!と痛そうな音を立てて、ガイが伸ばした手の甲をジェイドの左手が掴む。
その手を上に上げながら、
「そうです、万が一貴方に危ガイが及ぶようなことがあれば、我々がどうなるかわかりますか?」
なんかガイの右手からボキって音が聞こえたような……
眉間に青筋を浮かべながらジェイドが俺ではなく、ガイを見ながらにっこりと笑う。
「あぁ、そうさ。お前をから守るにはここにいて貰うのが一番なんだ。」
ガイも頬を引き攣らせ、脂汗を浮かべながらジェイドを見つつ笑ってる。
「ようするに……俺が役立たずってことか……?」
そう考えた俺に、二人が同時に違うと言った。
「そうじゃない!本当に心配なんだ!」
「でもそういうことだろ!?満足に動けないから要らないって……」
「ルーク。」
目を伏せて俯いた俺に、ジェイドの優しい声が降る。
「確かに貴方は満足に動けない。
アッシュが居るのでパッセージリングを操作する必要がない上に、戦闘に参加することが出来ない。」
うっわ……本当にただの役立たずじゃん……ジェイドの声が優しいから余計にへこむ。
本当に着いて行っちゃいけないんだって思って。
「貴方のすべき事は、体力の回復です。
その為には我々と行動を共にするよりも、屋敷で鍛錬したほうがずっと早い。」
たしかに、ジェイドの言うとおりだ。
「でも……役立たずだって、迷惑かけるってわかってるけど、一緒に……一緒に行きたいっ……」
ふぅ、とジェイドから溜息が漏れる。
呆れた…かな……。
「ルーク、顔を上げなさい。」
泣きそうなのを堪えて、言われた通りにする。
目線の先には、困ったように笑うジェイドの顔があった。
「わかりました。一緒に行きましょう。」
「本当か!?」
「えぇ。ガイが前衛で貴方を守ります。そうでしょう、ガイ?」
突然話を振られたガイが、「あ…あぁ。もちろんだ。」と言った。
「私が後衛で貴方を守りましょう。まずは満足に歩けるようになることが大切ですからね。」
「ん?それじゃあ俺はルークの傍には居れないってことじゃないか!くっそ…大佐にしてやられた……」
ガイが何かボソボソ言ってるけど、俺は嬉しくってそれどころじゃなかった。
「ありがとうジェイド!ガイも!」
「えぇ、どういたしまして。」
「あ…あぁ。頑張ろうな、ルーク。」


嬉しそうに笑うルーク。

今まで感じたことのない暖かさを得た。

この笑顔を見るために、私は多くを奪った。

微笑みの代償はあまりにも多かった。

それでも私は貴方を求めた。

そして手に入れた。


もう二度と離さない。貴方という存在を。


今までシリアス(ぎみ)路線だったのに、見事に消えたな。
これからは、ほのぼのと、あまあまを盛り込んだお話だらけになるでしょう。
そして、本編の内容はすっ飛ばしながら書くんだろうな私……
ルーク至上主義で突き進ませていただきます!

ちなみにルークが悩んでいたことに明確に答えます。
ジ「ご都合主義ってやつですねw」
管「はいwご都合主義ってやつですw」
ル「なんだそりゃー!」

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プロフィール

HN:
理人
性別:
非公開
職業:
在宅でPCで何かする人。
趣味:
読書(SS含む)
自己紹介:
完結済みを一気読み(見)するのが好きなため、オワコンに嵌る率が高い。
三大欲求の頂点が睡眠欲。春夏秋冬眠。
仕事が立て込むと音信不通。仕事するか寝るかしかしなくなる。
たまに食う。

 

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